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Jリーグ 6か月前

「何でかな」「決めろよ」FC町田ゼルビア対東京ヴェルディで分かれた明暗。パリ五輪世代が抱いたそれぞれの思い【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

平河悠が藤尾翔太に送った言葉



「なかなか数字がつかないなかで、正直、自分が獲得したPKを蹴りたい、という気持ちはありました」

 しかし、実際に平河が藤尾へかけた言葉は違った。藤尾が手にしていたペットボトル越しに右手同士をタッチさせながら、思いの丈を込めて「決めろよ」とエールを送った。平河が続ける。

「最も優先されるのはチームの勝利なので。試合が始まる前から(藤尾がPKキッカーだと)決まっていたし、そこで自分のエゴを出すのはちょっと違うのかな、と思ったので任せました」

 平河の思いも託されたPKを、藤尾はゴール右隅へ、ボールを右ポストへぶつけながらも執念でねじ込んだ。勢いづいた町田は80分にMF柴戸海が浦和レッズ時代の2022年10月以来となるゴールを、終了間際には左膝の大怪我で長期離脱を強いられたFWエリキが昨年7月以来となるゴールを決めた。

 開幕からJ1の上位戦線につける2位の町田と、3勝8分けと11戦連続無敗で11位にまで順位を上げてきたヴェルディ。好勝負が期待された一戦は、予想外の大差とともに町田に軍配が上がった。続けて行われた試合でヴィッセル神戸が敗れたため、町田は再び首位に浮上している。

 町田が初めてJ2へ昇格した2012シーズンから、両者のリーグ戦での対戦は「東京クラシック」と命名された。J1での初対戦前の通算成績は町田の7勝6分け5敗。同じ指揮官のもとで戦った昨シーズンのJ2リーグは、第15節を町田が1-0で制し、第25節では2-2と引き分けていた。

 さらに国立競技場が舞台となった後者の試合後には、ヴェルディの城福浩監督が町田のスタイルに苦言を呈して物議を醸した。接触プレーのたびに選手が倒れる、と指摘した城福監督はこう語っていた。

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