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Jリーグ 7か月前

「何でかな」「決めろよ」FC町田ゼルビア対東京ヴェルディで分かれた明暗。パリ五輪世代が抱いたそれぞれの思い【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

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明治安田J1リーグ第15節、FC町田ゼルビア対東京ヴェルディが19日に行われ、5-0でホームチームが勝利した。予想外のスコアとなったJ1史上初の「東京クラシック」。ピッチに立っていたパリ五輪世代の若者たちは、それぞれどんな思いを抱いていたのだろうか。(取材・文:藤江直人)


藤尾翔太と平河悠の絆

明治安田J1リーグ第15節、FC町田ゼルビア対東京ヴェルディ
【写真:Getty Images】

 左手でボールを抱えながら水で喉を潤し、気持ちを落ち着かせていたFC町田ゼルビアのFW藤尾翔太のもとへ、MF平河悠がゆっくりと近づいていく。ホームの町田GIONスタジアムに東京ヴェルディを迎えた19日のJ1リーグ第15節。時計の針が59分を回った直後のひとコマに、絆の強さが凝縮されていた。

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 数分前のプレーで、左サイドから上げられたクロスにファーサイドへトップスピードで走り込み、左足をボールにタッチさせた右サイドハーフの平河を、ヴェルディの左サイドバック、宮原和也が倒していた。ペナルティーエリア内における微妙な場面。それでも中村太主審は当初、試合を続行させた。

 しかし、VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)の介入もあって試合を中断させた中村主審は、ピッチ外のレビューエリアへ向かってOFR(オンフィールド・レビュー)を実施する。スタジアム内の大型映像装置に映し出された、平河を宮原が倒す映像を見ながら藤尾は気持ちを集中させていた。

「VARが入って(大型映像装置の)映像を見たときに『多分、PKやな』と思ったので、心の準備をしていました。今日は監督から、僕が(PKを)蹴っていい、みたい感じで言われていたので」

 藤尾の予想通りに判定が変更されたが、ここで疑問が頭をもたげる。黒田剛監督からPKキッカーに指名され、ペナルティースポットへ向かおうとしていた藤尾との距離を、平河はなぜ縮めていったのか。

 11分に絶妙のクロスから先制点となるオウンゴールを誘発し、29分には2点目をダイビングヘッドで決めた藤尾は、今シーズンのゴール数を「4」に伸ばしていた。対照的に平河は、3月9日の鹿島アントラーズとの第3節で初ゴールを決めて町田を勝利に導いてからは無得点が続いていた。

 攻撃的なポジションの選手ならば誰でも数字がほしい。自らの突破で獲得したPKならばなおさらだ。同じ2001年に生まれ、先のAFC U-23アジアカップをともに戦い、パリ五輪切符を手土産に中東カタールから帰国した盟友の藤尾へ、PKを蹴らせてほしいと平河が言っているようにも映った。

 平河自身も心の片隅に抱いていた、本音とも言える思いを次のように明かしている。

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