セットプレー強化の副産物
ジョバー氏がセットプレーコーチに就任したことで、実際にセットプレーの得点数も格段に増えている。就任前(20/21シーズン)はわずか6ゴールだったが、21/22シーズン以降16→15→20ゴールとその存在感は大きくなるばかり。当然、相手のセットプレーに対しても効果があり、今季はセットプレーからの失点がリーグ2番目に少ないチームとなった。
加えて、今季のアーセナルは、これまでとは異なり「内容があまり良くない試合」を無理やり勝利・引き分けに持っていく力が強かったように感じられる。「天才」ニコラス・ジョバー氏の仕事が、焦らず我慢強く攻撃を続ければ、いずれ相手ゴールをこじ開けられるだろうという自信を選手たちにもたらした。味方が決定機をものにできない、サイドの守備が不安定など、思うような試合展開ではない状況が続いたときにワンチャンスをゴールに繋げるセットプレーは、勝ち点を積み重ねるのに大きな役割を果たしたのではないかと筆者は考えている。
自分たちがやるべきことはやった。それでも王者には、あと一歩届かなかった。
これは、受け入れなければならない現実だが、悲観する必要はないだろう。無敗優勝を達成した03/04シーズンに次ぐ、勝ち点89を獲得したことは大きな自信になる。ヤングガナーズの来季が待ちきれない。
(文:竹内快)