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【遠藤航・分析コラム】リバプールに必要な理由。クロップ監督ラストマッチで示した、成長の証

シリーズ:分析コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

遠藤航が1年間で成長をみせたプレーとは


 リバプールに限らずアンカーのポジションの選手には、いかなる状況でも守備時に相手の攻撃を止めることが求められており、例えファウルであろうとカウンターの起点を潰すことが重要である。

 加入当初の遠藤は前所属のシュツットガルトがダブルボランチだったこともあるのか、守備範囲や求められるタスクが異なるため、この役割をこなすことにやや苦戦をしていた。初先発となった第3節ニューカッスル戦では、サンドロ・トナーリとブルーノ・ギマランイスに対して前に潰しに行ったが、ターンや強引なフィジカルで剥がされていた。

 このニューカッスル戦で前に相手を潰しにいくプレーは試合を通して3つあったが、いずれもファウルですら止めることができなかった。遠藤としては後ろに守備力の高いDFがいたこともありファウル覚悟で止めに行ったと思われるが、それでもかわされてしまっていたのだ。

 それから約1シーズンが経過した最終節ウルブス戦では確かな成長をみせている。ニューカッスル戦と同じように相手の球の出どころにパスコースを消しながらプレスをかけて、ボールを奪い切る、もしくはファウルでカウンターを阻止していた。

 この試合で遠藤は3つのファウルを与えているが、いずれも敵陣でのプレーだったため、セットプレーなどからピンチを招いていない。むしろ日本代表MFが相手の攻撃を完璧に潰したことから、リバプールは試合を通してほとんどカウンターを受ける機会がなく、オープンプレーからゴールを脅かされる場面は皆無に近かった。

 恩師クロップ監督のラストマッチでも確かな成長をみせた遠藤。来シーズンからは監督やコーチングスタッフが入れ替わるため、チームのサッカーのスタイルが変わるかもしれないが、まずは1年間主力としてプレミアリーグを戦い抜いたのは彼のキャリアで大きな財産となったことだろう。

 来シーズンの活躍にも大いに期待していいのではないだろうか。

(文:安洋一郎)

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