「長いシーズンを戦い抜くうえでそれは絶対に必要」
【写真:Getty Images】
奇しくも今週末、長谷部誠(フランクフルト)と岡崎慎司(シント=トロイデン)が現役ラストマッチを迎えた。2014年ブラジル・2018年ロシアの両ワールドカップで共闘した2人が示してきた「基準」を酒井や大迫は熟知している。それを神戸での日常に還元できれば、小さな綻びはすぐに修正できるはずだ。
「岡崎さんは自分のコンディションが整わない中でも自分のやるべきことをしっかりやるというのは、いろんな選手にとってすごくいい示しになっていると思います。
長谷部さんに関して言えば、あの歳でブンデス(リーガ)1部でやる厳しさがどれだけのものかというのは、自分も経験した身なので一番よく分かるし、想像もできないですね。フランクフルトはしっかりヨーロッパ圏内を取ってるし、ヴォルフスブルクではリーグ優勝して、チャンピオンズリーグ(CL)にも出ている。本当に海外で一番活躍した日本人選手と言ってもおかしくないですね。
長谷部さんや岡崎さんが敷いたレールを若い選手たちが見習って、しっかりと走っていくことが大事になると思う。僕もヴィッセル神戸を勝たせるために、できる限りのことはやりたい」と酒井は自分に託されたタスクを今一度、胸に刻み込んでいた。
大迫も「オカさんは同じポジションでリスペクトできる存在だったし、長谷部さんも長年代表を引っ張って、すごくいい背中を見せてくれた」と最大級の敬意を示すとともに、そのレベルを追い求めていく覚悟を抱いた様子。山口や武藤もそうだが、「ビッグ4」と言われる面々がこれまで以上に厳しさを植え付け、「神戸の基準」を引き上げていければ、さらに強い集団になれる。鹿島戦の敗戦をいい教訓にすることが肝要なのだ。
「今季はチームの幅が広がっていると思います。だからこそ、次のルヴァンカップ(22日のカターレ富山戦)で出番をもらえる選手たちがしっかりした活躍を見せることが大事。それで新しい競争も生まれますし、チームの選手層を厚くすることにもつながる。長いシーズンを戦い抜くうえでそれは絶対に必要。ここからですね」
酒井の言葉を全員が受け止め、力強く前進していく…。そういう王者の姿をぜひとも見せてほしいものである。
(取材・文:元川悦子)