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Jリーグ 4か月前

なぜ湘南ベルマーレは逆転できたのか? 「やられてから気づいているようでは…」苦しい展開から掴んだ逆転勝利の価値【コラム】

シリーズ:コラム text by 加藤健一 photo by Getty Images

なぜ湘南ベルマーレは逆転できたのか?



「(システムの)かみ合わせ的なものじゃなくて、みんなの強度が足りなかった。シンプルにアプローチするスピードだったり、本当に奪うんだっていう気迫、奪った後の切り替えの部分も、明らかに足りなかった」

 一方で山口智監督は戦術的な課題を口にする。「2トップのところから始まる守備が曖昧になってしまった。プラス相手の巧さもあるので揺さぶられ、方向が限定できないので逃げられる」。湘南の守備は2トップのコース切りが肝だが、「前の形作りがハマらなかった」ことでコンパクトさを失い、間にパスを通されて起点を作られていた。

 湘南はハーフタイムに阿部浩之を下げて、ディサロ燦シルヴァーノをピッチに入れる。ディサロは阿部が務めていた2トップの一角に入り、新潟の組み立てのキーマンである秋山へのパスコースをふさいだ。

 新潟にボールを持たれる展開は続いたが、ビルドアップの起点でパスコースを限定できるようになると、DF陣もディフェンスラインを積極的に上げることができるようになった。前半は40%だったデュエル勝利は49%まで上がり、タックル成功率は62%から82%まで上昇している。

 勝利した湘南は、勝ち点で17位のサガン鳥栖と並んだ。とはいえまだ降格圏。「こういう展開をしたら勝てる試合も勝てない。やられてから気づいているようでは簡単に勝てないし、そんな甘い世界ではない」と鈴木は自分たちに厳しい視線を向ける。

「今日のうちに関しては本当にただのラッキー」というように、偶発的な要素があったことは否定できない。新潟のGK小島亨介とDFトーマス・デンが衝突したことで、ルキアンがフリーでゴールネットを揺らした同点弾や、クロスバーを弾いた86分の松田詠太郎のボレーシュートなど、紙一重のところで勝負の神様は湘南に味方した。

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