「責任はGKコーチの私にある」
このような複雑的かつ複合的な要素を踏まえて、GKのプレーを正しく判断して評価できる人材は少ないという。各所で長年GKコーチを務めてきたミレッは、多くの指導者も理解を示してこなかったが、GK専任のコーチすら理解しようとしていない人もいたと訴える。
著書ではGKコーチを「GKのことを助けてくれる人、GKのことを本当に理解できる人」と定義している。さらに、現在のGKコーチには「トレーニングをこなす人」と「ゴールキーパーを準備する人」がいると解説している。前者は「与えられた時間でひたすらボールを蹴って終了という人」で、後者は「トレーニングの意図を説明して理解させ修正できる人」と説明している。
どちらにならなければならないかは明白だが、世界的に見てもまだまだ後者のようにできているGKは少ないという。
ミレッは「ポジショニングのメソッドには3年、ハイボールには6年の歳月がかかった」と、GK理論の理解には時間がかかることを明かした。それでも理解を深めるヒントとして、「シーズン中なので多くは明かせない」と前置きしたうえで、第2節の東京ヴェルディ戦を例に解説を加えた。
「東京ヴェルディ戦での失点シーンですが、空いたスペースにボールを落とされて見えない位置からシュートを打たれてはGKには止められないというのが一般的な評価なのではないでしょうか。しかし、私の評価は違います。シュート以前で(西川)周作には止めることできました。できるのにできなかったのです。詳しくは話せませんが、それはメンタルに起因します」
そう説明したミレッは「責任はGKコーチの私にある」として解説を続けた。