特集:4xCORE(クアトロコア)
「足が伸びる」と表現されるアフリカ系選手の身体能力を、トレーニングによって後天的に手に入れることはできるのか。河口正史氏は実際に指導する選手や、世界で活躍するサッカー日本代表選手を例に挙げつつ、骨盤を動かすことの重要性を説く。(取材・文:清水英斗)
プロフィール:河口正史
1973年生まれ、兵庫県出身。アメリカンフットボール選手として立命館大学では学生日本一に輝く。大学卒業後にNFLヨーロッパで活躍し、NFLチーム「サンフランシスコ49er」のキャンプに参加。引退後は『4xCORE(クアトロコア)』メソッドを開発し、プロ野球、Jリーグ、ラグビー、アメリカンフットボールなどで活躍する選手を多数指導する。株式会社JPEC TOKYO代表取締役としてアスリートのパフォーマンス向上に貢献している。
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「後天的な影響はある気がする」中田英寿は弱くなってしまった
日本人の97%が使うことができていない、と言われる『仙腸関節』。海外の選手、特にアフリカ系の選手のように、高重心で骨盤から動くことで、サッカーのプレーに様々な影響が表れることがわかった。
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なぜ、日本人を含むアジア系に、仙腸関節を使えない人が多いのか。その明確な理由は言えないが、遺伝であったり、気候や文化、習慣、あるいは親がそうだから、それを見ている子もそれを真似するという、目で見る遺伝もあるのではないかと、河口氏は言う。
「アジア人でも、アメリカ育ちの人は意外と高重心が多かったりと、感覚的には後天的な影響がある気はしています。ただ、日本でも最近の若い子どもたちは、骨盤から動く高重心の子が割と多いんですよね」
身体の動かし方を見分けるポイントの一つとして、シャツの揺れがある。背中側、腰辺りのシャツが揺れる様子から、骨盤が動いているかどうかを見る。河口氏も見極めのポイントの一つにしているそうだ。
「たまにその辺りを歩いていて、子どものサッカースクールとかをやっていると、ちょっと覗いたりします。結構みんな骨盤から動いているんですよね。生活様式とか文化とか、あるいはお手本とか、最近の子は昔とは少し変わってきているのかもしれません。
でも、悲劇的なのは、その骨盤が動いているキッズに対して、股関節やヒザのトレーニングを大人がやらせることです。それを繰り返していると、そのうち骨盤が動かなくなる。それが理由で調子を崩したスポーツ選手は山ほどいて、サッカーの有名な人で言えば、中田英寿さん。若い頃は骨盤が動いて、当たりも強かったけど、もっと強くなろうと思ってトレーニングしたら、骨盤の動きが悪くなり、逆に当たりが弱くなりました。こうしたフィジカルトレーニングによって動き方がおかしくなった選手は、彼だけではありません。山ほどいます」