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「それが大きな失敗だった…」浦和レッズ、ジョアン・ミレッGKコーチの悔いと違和感。鈴木彩艶を例に考えるGKの評価基準

シリーズ:コラム text by 川原宏樹 photo by Getty Images

GKへの理解が深まらない理由「それが大きな失敗だったと悔いています」

浦和レッズのジョアン・ミレッGKコーチ
【写真:加藤健一】



「指導者らにGKの理解を深めてもらうことが、自分の仕事のなかで達成できていないことのひとつです。今となっては、それが大きな失敗だったと悔いています。たとえば試合後に監督が『GKが前に出られた状況だった』と失点の原因について言及することがありますが、そもそもそういった状況を想定した練習をしていたかどうかという話になります。練習していない状況下におけるアクションを失点の原因とするのはどうなのでしょうか。それは監督のGKに対する理解度が低いためで、GKコーチとしては理解を深めてもらおうと努めなければなりません」

 このようにGKへの理解がないままにコメントする監督やコーチらの指導者は、なにも日本に限った話ではない。サッカー先進国といわれるイングランド、ドイツ、スペインなどでもよくあることだ。

 そういった誤った評価のコメントがメディアを経由して一般へ広まることで、GKへの理解が誤った方向へ流れることをミレッは懸念している。

 GKの理解が深まらない理由は多々ある。

 ミレッも著書『ジョアン・ミレッ世界レベルのGK講座』で示しているように、現代サッカーの潮流においてGKは「アンチフットボール」のような存在といえる。

 大半の観客は無得点の試合を無条件でつまらないと評価する。それを踏まえて、ルールは得点が決まりやすいように改正されていき、監督やコーチらはどのように得点を奪うかに戦略の比重を置く。そういった背景のなかでGKだけが得点を決められないように考えている唯一の存在といっていいだろう。

(取材・文:川原宏樹)

※第2回に続く

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【了】

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