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「それが大きな失敗だった…」浦和レッズ、ジョアン・ミレッGKコーチの悔いと違和感。鈴木彩艶を例に考えるGKの評価基準

シリーズ:コラム text by 川原宏樹 photo by Getty Images

浦和レッズ ジョアン・ミレッGKコーチ 独占インタビュー

失点に直結しやすいGKというポジションは、大きな称賛も批判も受けやすい立場にある。「本当にその評価は正しいのでしょうか」と疑問を呈するのは浦和レッズのジョアン・ミレッGKコーチ。圧倒的な知識量とGK哲学を持つスペイン人指導者は、GKへの評価に対する違和感を言語化する。(取材・文:川原宏樹)※取材日:3月13日


プロフィール

1960年、11月1日生まれ、スペイン・カタルーニャ州出身。選手としてスペイン2部でプレーしたのち、1985年テラッサ(2部)の育成GKコーチに就任し、2000~12年までゲルニカ(4部)のトップから育成までのGKコーチを務めた。13年に来日し、湘南ベルマーレアカデミーGKプロジェクトリーダー、FC東京トップチームGKコーチ、奈良クラブアカデミーGKダイレクター、同トップチームGKコート、筑波大学蹴球部GKコーチを歴任し、22年から浦和レッズトップチームGKコーチを務める。元サッカー日本代表GK林彰洋、西川周作、現日本代表GK鈴木彩艶らを指導した経歴を持つ。

浦和レッズのジョアン・ミレッGKコーチ
【写真:加藤健一】


鈴木彩艶のプレー「本当にその評価は正しい?」

 今年に入りゴールキーパー(以下GK)の評価が話題になることが多い。1月に開催されていたAFCアジアカップカタール2023では鈴木彩艶への批判が沸き起こり、2月には「山下の1ミリ」と称されなでしこジャパンGK山下杏也加の北朝鮮女子代表戦でのプレーが注目された。

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 こういったGKの評価に対して、昨夏まで鈴木を指導し、浦和レッズでGKコーチを務めるジョアン・ミレッは違和感があるという。

「アジアカップでは彩艶のミスが話題となりましたが、本当にその評価は正しいのでしょうか。あくまでも私個人の考え方になりますが、GKが誰にでもわかりやすいミスをすると失点につながりやすく目立つので批判の的になってしまいます。

 一方で、FWがシュートを外してしまうのも、わかりやすいミスのひとつといえるでしょう。しかし、同じミスであるはずなのに、その後の評価には大きな差があるように感じています。GKはミスひとつで厳しく批判されますが、FWはシュートを10本外したとしても打ったシュートに対して拍手で称賛されることがあります。どちらも同じゴールに関わるミスであっても、同じ熱量で評価されることはありません。そういった評価基準は、私の立場からいえば違和感のある世界なのです」

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