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Jリーグ 6か月前

「鹿島戦も苦ではなかった」東京ヴェルディ、山田楓喜はさらにタフな男に。過酷なアジアカップで学んだこととは?【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Getty Images

苦しい前半も…。「収穫でしたね」と語った理由



 山田が陣取ったのは、いつも通り、4−4−2の右MF。定位置でチャンスメークやフィニッシュに絡む動きを期待された。ただ、対面にいる安西幸輝は日本代表や海外経験のある左サイドバック(SB)。「山田選手はFKからの一発があるのでファウルを与えないことをチーム全体で共有しておく必要がある」と試合前にも語った通り、これまで以上に警戒を強化してきた。

 相手の対策が厳しくなることを山田自身も想定していたというが、前半はなかなかボールを持てずに苦しんだ。開始早々に木村勇大のPK献上から鈴木優磨に決められて1点を失い、その3分後にも名古新太郎に2点目を奪われるという劣勢を強いられたこともあり、山田自身がゴール前で輝くシーンは皆無に近かったと言っていいだろう。

「(4月7日の)湘南ベルマーレ戦の時も相手の守備が(自分のいる)右側に偏っていて、僕自身もちょっとうまくいかなかったんですけど、それと似たような感じになった。攻撃面ではかなり苦しい状況で、『どう打開しようか』を考えながらもイメージ通りにはいかなかったんですけど、そういう時こそ、守備面とかで違いを出さないといけない。『走る・戦う・チームのために守備をする』っていうのが大前提にあるんで、最低限のことはやろうと思ったし、実際にできたのかなと。そこは収穫でしたね」と本人は苦境の45分間を前向きに振り返っていた。

 相手に主導権を握られ、自身が攻撃に絡めなくなる展開というのは、AFC・U-23アジアカップでも見られたこと。今夏の五輪になれば、なおさらそうだろう。そこで何の仕事もできない選手は狭き門の代表枠には滑り込めない。山田は厳しい現実を痛感しつつ、オフ・ザ・ボールの時に何をすべきかを考え、ピッチ上に実践できるようになりつつある。そこが慣れ親しんだ京都サンガF.C.を離れ、東京Vの門を叩き、あえて自らを過酷な環境に追い込んだ成果かもしれない。

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