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Jリーグ 7か月前

「ポープ・ウィリアムは面白いくらい変わった」横浜F・マリノスGKを支えるメソッド。「日本人の97%が動かせない」仙腸関節

シリーズ:4xCORE(クアトロコア) text by 清水英斗 photo by Getty Images

「ヒザ人間がたくさんいる」なぜアフリカ系選手は「足が伸びてくる」ように感じるのか?



「それまでは仙腸関節の存在すら知らなかったのですが、アフリカ系の選手たちは、この関節を使っていたのではないか。そう仮説を立て、自分でも色々と動きや改善のトレーニングを試していたら、これだ、と。現役時代に抱えた謎が一つずつ、本当に一つずつ解けていくのを感じました」

 この仙腸関節を動かせるようになると、重心が高くなり、仙腸関節以下の部位が解き放たれる。その結果、四肢中心ではなく、骨盤から動くように変わり、動作に使える関節や筋肉が増えるというのだ。

 ところが、なんと日本人の97%は、この関節を動かすことができていない。特にアジア系の人ほど、仙腸関節が固まって動かず、ヒザで動く人が多い。それは一流アスリートも同じだ。河口氏は2022年6月に行われた日本代表対ブラジル代表を生観戦したが、当時の日本代表メンバーで、仙腸関節が動いていると明らかに見て取れたのは、三笘と伊東の2人だけ。逆にブラジル代表は国内組の一人を除き、全員の仙腸関節が動いていた。

「アジア系の人は、へその辺り、いわゆる丹田と呼ばれる場所を固めることが多いのですが、固めると、それより先端側の部位しか動きません。ヒザ下だけで動く、『ヒザ人間』がたくさんいます。ところが、外国人選手はもっと高重心で、胸のほうに重心があります。体幹を固めずに動かし、内から外へ連動しているのです。

 仙腸関節を動かすトレーニングは、色々な人に広めたのですが、プロ野球のピッチャーの球速が1年で7キロ上がったり、40才を超えたプロゴルファーのドライバーの飛距離が3カ月で40ヤード伸びたり、一般の方々でも女性のスタイルが変わったり、腰痛に悩んでいた60代の方が自転車に乗ったり走れるようになったりと、多くの成果が出ました」

 サッカーで言えば、「アフリカ系の選手は足が伸びてくる」と評されることが多い。だが、ヒザを中心に動く選手と、仙腸関節より下の部位が内から連動する選手とでは、足が届く範囲も、足を出せる速さもパワーも、差が出るのは当然だ。足が伸びているわけではなく、身体の中から伸びてくる。こうした動き方の違いで、競技パフォーマンスが向上したり、姿勢や身体付きそのものが変わったりと、多くの変化が現れる。

 低重心と高重心の違い。さらに大きな影響が出るのが、タイミングだ。

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