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Jリーグ 4か月前

「少しビックリした」3位浮上、鹿島アントラーズの変化とは? 大型連休3連勝の原動力【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Getty Images

「チャヴリッチは今日、あんまり…」

鹿島アントラーズ
【写真:Getty Images】



「チャッキー(チャヴリッチ)は今日、あんまり入りがよくなかったと思う」と鈴木優磨は言う。それでも「ああいう選手は一発を持っているから、彼が上がったタイミングでボールを出せば、得点の確率は上がると思っていた」とチャヴリッチの決定力の高さを信じて、虎視眈々とゴールチャンスを狙い続けたという。

 後半アディショナルタイムにその瞬間が訪れる。GK早川友基のロングフィードを濃野公人がヘッドで落とし、鈴木優磨がキープした瞬間、チャヴリッチがスルスルと前線を駆け上がったのだ。

「ワン君(犬飼智也)が触れなくて、チャッキーが触れるようなボールを狙った。あと風向きも難しかったんで、ワン君を越えたら、チャッキーなら絶対に追いつけると思ったし、目が合ったんで、いいボールを入れることができた」と鈴木優磨が送った浮き球のロングパスに背番号7は確実に反応。DFの間を抜け出し、GK松本健太の位置を見ながら右足でゴール。鹿島は苦しかった後半を乗り越え、2−1で勝ち切ることができたのだ。

 やはり終盤に決め手のあるFWが登場し、力を発揮するというのは、優勝を目指すチームにとって不可欠なポイント。今季の鹿島は知念慶がボランチ起用されていることで、FWのジョーカーが明らかに足りなかった。こうした現状を踏まえ、ポポヴィッチ監督がチャヴリッチを先発にこだわることなく控えに回し、後半勝負に持っていく采配を見せたのは、今後に向けて前向きな要素と言っていい。

「チャッキーには(得点力とスピードという)絶対的な武器がある。それをどう生かしてあげるかだと思う」と相棒の鈴木優磨も力を込めていたが、2人のホットラインが築かれつつあるのも朗報だろう。

 この3連勝で鹿島は3位に浮上。首位・町田と3ポイント差に迫ってきた。これまで苦手だった連戦を乗り切ったことで得られた自信も大きい。ここから先は東京ヴェルディ、サンフレッチェ広島、ヴィッセル神戸という厳しい相手との3連戦が待っている。これを乗り切ることができれば、王者奪還への道も見えてくるかもしれない。

 ポポヴィッチ監督率いる新生・鹿島にとって、5月は今季の成否を左右する極めて重要な時期。チャヴリッチの先々の起用法を含めて慎重に見極めていきたいものである。

(取材・文:元川悦子)

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