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Jリーグ 7か月前

家長昭博はどこに…。川崎フロンターレが悩まされる難解なパズル。配置と個性の狭間で揺れるチーム設計【戦術分析コラム】

シリーズ:戦術分析コラム text by らいかーると photo by Getty Images

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 明治安田J1リーグは10節を消化し、川崎フロンターレは降格圏と1ポイント差の16位に沈む。7年間で2度の連覇を成し遂げてきた鬼木達監督は、難易度の高いチーム作りに頭を悩ませている。ここでは、配置と個性のはざまで揺れる川崎のチーム設計をひも解いていきたい。(文:らいかーると)

著者プロフィール:らいかーると

1982年、浦和出身。とあるサッカーチームの監督。サッカー戦術分析ブログ「サッカーの面白い戦術分析を心がけます」主宰。海外サッカー、Jリーグ、日本代表戦など幅広い試合を取り上げ、ユニークな語り口で試合を分析する人気ブロガー。著書に『アナリシス・アイ ~サッカーの面白い戦術分析の方法、教えます~』『森保JAPAN戦術レポート 大国撃破へのシナリオとベスト8の壁に挑んだ記録』がある。


Jリーグで圧倒できなくなった川崎フロンターレの試行錯誤

16位に沈む川崎フロンターレ
【写真:Getty Images】

 コロナ禍に猛威を振るっていた川崎フロンターレ。その最強感はJリーグの歴代チームのなかでもトップクラスだったことは間違いないだろう。惜しむらくは、コロナ禍のためにACLへの参加機会が少なかったことだろうか。リーグ戦を制し、アジアでもチャンピオンになっていれば、誰もが文句を言えぬ立ち位置にまで川崎フロンターレは上り詰めたに違いない。

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 すったもんだがありましたというべきか、盛者必衰の理を表しているというべきか。そんな最強感に満ち溢れていた川崎フロンターレが、とうとう残留争いに巻き込まれていると表現してもおかしくない順位に現状では位置している。タイトルを獲得してきた選手たちが海外に移籍し、代わりの選手たちが想定よりも台頭しないJリーグあるあるに苦しんでいることは間違いないだろう。現状の川崎フロンターレの試行錯誤という名の精一杯の抵抗について今回は考えていきたい。

 直近のサンフレッチェ広島戦は[4-3-3]で臨んだが、多くの試合は[4-2-3-1]を採用してきた川崎フロンターレ。この変更は広島の3バックに対して誰が誰のマークをするかをわかりやすく整えたかったのだろう。基本の配置を[4-3-3]としても、インサイドハーフを前列に移動させて[4-4-2]で守備をしたり、自由にお出かけを実行する家長が本来は守るべき右サイドに、代わりの選手が穴埋めしたりすることも川崎フロンターレの日常になっている。

 つまり、川崎フロンターレにとって配置は大切ではない。大切なことは誰がどの位置でどの役割を担っているかに注目する必要がある。例えば、途中から左サイドバックに移動することの多い橘田がボールを保持するときに内側レーンでインサイドハーフのように振る舞うのか、大外レーンでウイングのように振る舞うかでは与えられた役割が全く異なることがよくわかる。このようにエリアごとに割り振られた役割と選手の個性が一致しているかどうかはチーム設計の肝となっている。

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