横浜F・マリノスは「どんどん強くなっている」
AFCの公式スタッツによると、驚くことに蔚山は40本のシュート(エリア内から26本、枠内15本、ブロック9本)を放ち、クロスも43本(そのうち30.2%が味方に届いた)を決めたのに対し、マリノスは44回ボールをクリアし、ポープは13回のセーブを記録している。さらに、後半の86パーセントはマリノスのディフェンシブサードまたはピッチのミドルサードでプレーされた。
しかし、常に瀬戸際に立たされているにもかかわらず、ホームチームが毅然と立ち向かうという事実への必然性がますます高まっていた。蔚山がチャンスを無駄にしたり、マリノスの選手がシュートやクロスに体を投げ出したりするたびに、ポープが守るゴールは少しずつ小さくなり、蔚山のミッションはさらに困難なものになっていった。キューウェル監督はこう話す。
「彼らは落ち着いていたし、自信に満ち溢れていた。試合終了のホイッスルが近づくにつれ、自分たちがどんどん強くなっているのがわかった」
チームはその信念をPK戦でも貫いた。ポープが5番手キム・ミヌのシュートをセーブし、エドゥアルドが決めて決勝進出を決めた。ゴール裏の雨に濡れたファンの間で歓喜の渦が巻き起こっていた。
ディエゴ・シメオネ監督に言わせれば、マリノスは驚異的なコホネス(大胆さ)を見せたと言うだろう。もう一人のアルゼンチン人監督、エルナン・クレスポ率いるアル・アインのチームと対戦する5月の決勝でも、キューウェルはマリノスの選手たちが最後まで戦えるという最高の自信を持っているに違いない。
「見ていてよ。決勝は楽しむつもりだ」と彼は笑いながら言った。
「キャリアの中でも決勝でプレーする機会はそう多くないので、そのときは楽しもう。そして、これまでやってきたやり方でプレーし、ただそれを楽しむ。私たちがやることはそれだけです」
壁に背を向けても勝利を収めることができること、そしてより大胆なプレーで相手を打ちのめすこともできることを証明したマリノスには、まさにそれを行う権利がある。
(取材・文:ショーン・キャロル)
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