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AFCチャンピオンズリーグ準決勝2ndレグで、横浜F・マリノスは退場により10人での戦いを余儀なくされたが、PK戦を制して決勝進出を決めた。今季から指揮を執るハリー・キューウェル監督は、これまでと変わらぬ哲学の下で戦うチームが、確かに成長していることを実感している。(取材・文:ショーン・キャロル)
著者プロフィール:ショーン・キャロル
1985年イングランド生まれ。2009年に来日。『ニッポンとサッカー 英国人記者の取材録』『英国人から見た日本サッカー “摩訶不思議”ニッポンの蹴球文化』の筆者。「Jリーグ Monthly」のレギュラー出演。高校サッカー、Jリーグ、日本代表など幅広く取材している。過去にはスカパーやNHK、J SportsなどのJリーグ番組出演も。
アイデンティティを脇に置かざるを得なかった
横浜F・マリノスのスタイルについては近年多くのことが言われてきたが、そのDNAはアンジェ・ポステコグルーによって埋め込まれ、ケヴィン・マスカットによって微調整され、現在は同胞ハリー・キューウェルの手に渡っている。
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そのアイデンティティは主に積極的で攻撃的な哲学に結びついており、各監督はチームが主導権を掌握し、すべての試合において高い位置でプレーすることを望んでいると主張している。
その理想は賞賛に値するが、蔚山HD(旧蔚山現代)と対戦した24日のAFCチャンピオンズリーグ準決勝2ndレグのように、時にはそれが不可能であったり、常識ではなかったりすることもある。
雨が日産スタジアムに降り注ぎ、蔚山がペナルティエリアに次から次へとクロスを送り込んでくる。これには繊細な技術やトランジション、パスパターンというよりも、耐える能力を見出すことに重点が置かれていた。プレーのパターンが1つだけならば、そんなものはどうでもよくなる。白いシャツの絶え間ない集中砲火が、常に周りや横、後ろで飛び交っていた。
前進し続け、最初にボールに到達し続ける、チームを危険にさらすようなミスを犯さないことを確認し続けることは、時間が経つにつれて精神的にも肉体的にもますます難しくなる。
乳酸がたまり足が重くなり、集中力が切れそうになったり、相手を追うのが難しくなっても、キューウェル監督が率いるこのチームは降伏しなかった。191cmのマルティン・アダムが決勝進出へ導くヘディングシュートを叩き込むのを防ぐために、彼らはもう1度、高く跳び、力強く立ち上がる必要があったからだ。