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Jリーグ 7か月前

中島翔哉が浦和レッズを変えつつある。「できる選手なんですよ」。“10番”だからこそ任される特別なタスクとは【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

中島翔哉に与えられたタスク


【写真:Getty Images】



「翔哉には内側に入っていく自由を与えている。すべてはその選手の特長や、周りの選手との関係性にもよるが、翔哉はトップ下のようなポジションに移ってプレーするケースもあるので、今日の場合は左インサイドハーフの(安居)海渡はよりバランスを取らないといけない。同時に守備面でも時間の経過とともに練習してきた形、たとえば翔哉がトリガーとなって、それに合わせてチアゴ(・サンタナ)がプレスをかける、さらに(伊藤)敦樹がプレスに出ていくといった場面も出てくるようになった」

 中島の自由奔放ぶりがいい意味での不規則な変化を浦和にもたらし、結果として相手を戸惑わせるメリットを生み出す。同時に生じるリスクを最小限にとどめるために、前節まで3試合すべてで途中出場だった安居海渡を今シーズンで初めて先発させ、左サイドのバランスを注視させた。

 試合は24分に安居が名古屋の最終ラインの裏へ抜け出し、今シーズン初ゴールとなる先制ゴールを決めた。公式53試合に出場した昨シーズンから一転して、新体制下では開幕から6試合続けてベンチ外となりながら、不断の努力を怠らなかったヒーローの安居は、中島との関係を試合後にこう語っている。

「翔哉くんはウイングと言ってもかなり自由にプレーするタイプなので、そこはバランスを見て、と試合前から言われていた。もうちょっと前で絡んでいければ、と思うところもありますけど、バランスというのも言われていた。それが頭に残っていて、ちょっと後ろ気味でもらうケースも多くなりました」

 ならば、指揮官が言及した「守備のトリガー」とは何なのか。中島自身は「僕からはあまり言わない方がいいんじゃないですか」とチーム内の機密事項だと苦笑しながら、守備に関する持論を展開した。

「守備と攻撃はあまり分けていないというか、相手のボールを奪いにいって、実際に取れればそれが攻撃に繋がっていくので、攻撃の一種という感じでやっています。相手にかわされることもありますけど、それもまたひとつ勉強になるというか、いろいろと感じられればいいかなと思っています」

 森保ジャパンではドリブル突破を含めた攻撃力が評価された一方で、守備面に関しては幾度となく厳しい指摘を受けた。再び西川の言葉を借りれば、攻撃力を「技術の水準は間違いなく高いし、ボールを前へ運べて相手をかき乱せる」と称賛しながら、守備面にはまったく異なる見解を示している。

「僕が思うのは彼の守備力ですよね。彼のアイデアというか能力が攻撃面に行きがちですけど、守備のはめ方がすごくうまいんですよね。ちょっと前まではサブ組で練習をやっていたじゃないですか。それでもはめ方がかなりうまくて、そこで制限されてこっちがやられる、みたいなケースが練習でけっこうあった。なので、ようやく彼がスタメンで出た、というのはチームにとってプラスだと思います」

 ヘグモ監督が言及した「翔哉がトリガーとなって」とは、相手のプレーを限定させる、オフ・ザ・ボールの動きを含めた「はめ方」を指していた。その上でサンタナや左サイドバックの渡邊、アンカーのグスタフソンとの連係や、西川のパントキックをワンタッチパスに変えた技術を惜しみなく発揮する。

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