「リアルな感覚で言うと…」退場した上島拓巳にキューウェル監督がかけた言葉
「リアルな感覚で言うとすごくピンチというか、シュートを思い切り打ってきそうな感じ、決められてもおかしくない感じだった。DFとしては体を投げ出してでも守りたい、自分がそこのピンチを防ぎたいという気持ちでスライディングにいった」
何としてでもチームを救おうという強い気持ちが、結果として裏目に出た。すべてをパーフェクトにこなせる選手になっていない現状があるとしたら、それは彼の伸びしろとも言える。
数的不利となった横浜FMは耐えに耐えてPK戦に持ち込み、最後はキッカー5人全員の成功とポープ・ウィリアムのセーブで決勝進出のチケットを手にする。
歓喜の輪になかなか入れない上島を迎え入れたのは、ともに戦った仲間だ。
「PKの時も僕は階段のところで見ていたけど、すごく嬉しい気持ちと、逆に喜び合っているところに自分がいられない悔しさがあって、複雑というか無力さを感じていた。(宮市)亮くんが『拓巳はどこだ?』と探してくれて、呼んでくれた。ひとりの人間として素晴らしい人だなと感じたし、いろいろな選手が迎え入れてくれた。あらためてマリノスは素晴らしいチームだなと感じたし、それをこれから返していきたい」
それだけではない。上島はキューウェル監督に伝えられた言葉を明かしてくれた。
「お前のプレーは素晴らしかった。オレはあのプレーがレッドカードだと思っていないし、何も気にせず次の試合に向けて良い準備をしてくれ」
仲間を支えて、今度は仲間に支えられて。そして人間味溢れる指揮官からの信頼に応えるために。
トリコロールの防波堤として、これからも力強く歩を進めていく。
(取材・文:藤井雅彦)
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