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コラム 9か月前

「出来が悪い時も…」眠っていた巨人・スカマッカはなぜ覚醒したのか。変化のきっかけとは?【コラム】

シリーズ:コラム text by 佐藤徳和 photo by Getty Images

「サッカーのおかげで道を…」



 1999年1月1日生まれのジャンルカは、ローマの中心街から北に約10キロの町、フィデーネの生まれだ。「自分にとっては母と姉だけが家族」と本人が語るように、幼い頃に両親は離婚し、恵まれた家庭環境ではなかった。

 家庭だけでなく、生まれ故郷も生活するには難しい町だった。「フィデーネで育つことは簡単なことではない。ある日突然、水が出なくなり、電気も消える」と続ける。つい、2年前には、共同住宅の理事会での諍いから、4人の女性が殺害される残忍な事件があり、最近も薬物と銃の不法所持により、5人が逮捕される事件が起きている。「サッカーのおかげで道を外れることはなかった」とサッカーとの出会いに感謝を示す。

 治安の悪さばかりが目立つ町ではあるが、インテルに所属する同い年のダビデ・フラッテージもこの町の生まれだ。6歳からラツィオの下部組織でプレーし、スカマッカも10歳からこの水色のクラブでプレーしている。スカマッカは当時を振り返り「ユーベ戦だったかな。2人でボールボーイをしていて、いきなり、ダビデが俺の近くで立ち上がって、こっちを指さし『こいつはロマニスタ!』って歌うんだ。こっちは固まったけど、ジェスチャーで否定して、『フォルツァ(がんばれ)・ラツィオ!』と叫んだよ」と話す。幼少期から無二の友人であった。

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