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アジア 7か月前

「本物のレベルに…」横浜F・マリノス、ポープ・ウィリアムにとって特別な120分。脳裏に浮かんだ「自分の軌跡」【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

「悔しい思いや辛い時期を乗り越えてきた」

横浜F・マリノスのGKポープ・ウィリアム
【写真:Getty Images】



「移籍してきてからシゲさん(松永)、哲さん(榎本)のもとで本当にいいトレーニングができている。スタンスや構え方を含めたキーパーの技術的かつ細かい部分を2人から吸収しながら、だからといって無理強いはされずに、バランスをすごく考えながらアプローチしてくれる。そのなかで僕も頭でっかちになりすぎずに、自分のなかでいろいろとかみ砕きながら、日々のトレーニングで手応えを感じてきた。そういった細かい気づきのようなものを常に与えてくれる環境で毎日サッカーができている」

 ほぼ1試合分を10人で戦い、そのまま息詰まるPK戦へと突入した蔚山戦では、プロになってから経験してきた、さまざまな艱難辛苦が走馬灯のように脳裏に浮かんできたとポープは言う。

「本物のレベルに追いつきたい、追い越したいという気持ちでここ3、4年……いや、5年くらいは毎日地道にやってきたし、そういう日々がこの舞台に繋がった、というのは僕自身も感慨深いものがある。今日の試合も自分のなかでいろいろなことを思い返しながら、悔しい思いや辛い時期を乗り越えてきた自分の軌跡といったものがパワーになった。いままで頑張ってきてよかった、というのはありますね」

 雨中の死闘と化した一戦でしたたかさや、あるいはたくましさも見せつけた。たとえば意図的に時間を使った点で、ファガニ主審と虚々実々の駆け引きを繰り広げていたとポープは試合後に明かした。

「もう割り切って、なるべく時間をかけようと。ハードワークをしてくれた分、みんなには息を整える時間が必要だと思ったので、審判にはけっこう注意されましたけど、そこはうまく時間を使いながらやれたら、というのが自分のなかであった。レフェリーの方からはかなり注意されたし、次やったら(イエローカードを)出す、みたいな感じで言われていたけど、そういうなかでも駆け引きをしていました」

 PK戦を前にして、松永コーチから相手キッカーの特徴や癖、蹴る方向の傾向などが記されたメモを手渡された。しかし、ポープは熟慮した末に「自分を信じてやります」とやんわりと断りを入れている。

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