A代表と同じメカニズム…
38分に陶強龍のシュートがバーを叩く。42分にはヘディングシュートをGK小久保がセーブした後、またも陶がヘディングで狙うが枠外。後半にも47分にカウンターのピンチを小久保が鋭い出足で救う。ただ、危なかったのがこの3回くらいだった。
中国はボールを持ってはいるが、日本のプレスがかかるエリアではファーストタッチの不安定さゆえに顔が上がるのが遅く、キックの精度に欠け、テンポが上がらないので寄せきられるなど、パスワークでは崩せない。そのため守備ブロックへの前進を躊躇する場面も多く、余計にチャンスにならない。これは相手の問題だが、一方でそれだけ日本の守備が安定していたとも言える。
問題は強引なハイクロスからパワーで押し切るような攻撃だったが、こちらも高井幸大と木村のCBコンビ、GK小久保が制空権を握って大事には至らなかった。
65分には消耗するSHを藤尾翔太、佐藤恵允に交代。藤尾は巧みなキープからファウルを誘うなど時間を意識したプレーぶり。佐藤の方は少しリスクを冒しても2点目を奪って試合を終わらせようとする。追加点は奪えなかったが、危なげなく試合を終わらせることはできた。
退場者を出すまでのプレーは正確で速く、相手にほとんど何もさせていない。
守備ではトップ下の松木が細谷と並ぶ形で4-4-2のブロック、攻撃ではハーフスペースに引いて4-3-3。この可変の仕方は日本代表と同じメカニズムだ。精力的な守備を基準に選手を選抜しているのも同じ。良い守備からの良い攻撃のコンセプトも同じ。力の差があったことで退場者を出すまでは圧倒していた。
10人になって状況が一変し、そのまま続けられなかったのは残念だったが、1人少ないながらもハードワークと隙をみせない戦い方も見事だった。
(文:西部謙司)