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Jリーグ 7か月前

なぜサガン鳥栖は勝てないのか? とうとう最下位…。「物足りなさ」を感じる現状への解決策を考える【分析コラム】

シリーズ:戦術分析コラム text by らいかーると photo by Getty Images

ビルドアップの質は高いのか?



 サガン鳥栖のビルドアップの中心はセンターバックとセントラルハーフで形成されるボックスだ。ボックスといっても定型の形を維持するのではなく、セントラルハーフコンビは状況に応じて自分たちの立ち位置を変化させることができる。主に相手のファーストラインの裏でボールを受ける動きが秀逸で、相手のセントラルハーフがサガン鳥栖の選手にマンマークで対応しようものならば、+1の役割として主にトップ下で起用されている堀米がビルドアップの出口として機能する論理性を従えている。

 サイドバックの役割も多岐にわたる。センターバックとほぼ同列に立ち、相手を広げる幅を確保する役割から、ウイングの個性によって内側と外側のレーンに立つことを使い分け、片方の選手はセンターバックとともに最終ラインに残り、3バックを形成することも選択肢のひとつとなっている。このビルドアップを後方で支えている朴一圭も忘れてはいけない。ビルドアップの避難場所として、第三のセンターバックとして、ロングボールの起点として活躍しているが、シュートストップでも獅子奮迅の活躍をしていることは記しておきたい。

 様々な状況に応じて定型の形からどんどん変化できるサガン鳥栖のビルドアップのクオリティは高い。センターバックの選手も味方に時間とスペースを渡せない状況では無理矢理にボールを前進させることはない。選手とチームの戦術に矛盾がないため、多くのチームがサガン鳥栖のビルドアップに苦戦する展開になっている。バックラインの枚数の調整、堀米のヘルプ、サイドバックの内側と外側の立ち位置を状況に応じて最適化していく様子は簡単に実現できるものではない。潤沢な資金がないチームがこのようなサッカーに取り組み、実現している意義は大きいだろう。

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