「大迫依存」脱却のヒント
「サコがいると、どうしてもそこを目がけてロングボールだったりポストプレーが多くなる中で、今日は相手も前から来るし、徹底して裏を突くっていうことをやっていた。取ったボールをすぐに速く裏に出すっていう意識を全員で持ちながら戦った」とキャプテン・山口蛍も強調していたが、相手のお株を奪うようなタテへの意識を披露。22分、43分の佐々木が抜け出したシーンなど、あと一歩でゴールが生まれそうな決定機も作り出した。
こうした流れの中、待望の先制点が前半終了間際の45分に生まれる。自陣でボールを受けた宮代が力強いドリブルでグイグイと前線に駆け上がり、武藤にパス。背番号11は思い切って左足シュートを放った。これがDFに当たり、こぼれ球が山内へ。今季初先発の22歳のアタッカーは迷うことなく右足を振り抜き、値千金のゴールを奪ったのだ。
「うまくボールが流れてきて、時間もあったので、周りの状況っていうのもクリアに見えてましたし、本当に自分が狙ったところにうまく流し込めたので、こういうタフなゲームで先制点が取れたというのはすごく大きかった」と背番号30は笑顔を見せていた。
この場面を振り返っても、宮代がドリブルという強みを出し、武藤も迷わずフィニッシュに行っている。タメを作れる大迫がいる時にはどうしても彼に依存しがちになるが、大黒柱が不在だからこそ、1人ひとりが自分のストロングで勝負しようという姿勢がより強くなったと言っていい。「大迫依存症」は神戸の前々からの課題であるが、それを克服しなければ連覇への道は開けてこない。町田戦の彼らは1つのヒントを見出したのでははないか。
ただ、後半に入るとより町田の圧力が増し、守勢に回る時間が増えてきた。