「器用さ」への葛藤とSBを極める覚悟
柏レイソルでは2列目が主戦場で、湘南ベルマーレでは2トップの一角でプレーすることが多かった。これまで最終ラインでプレーする機会がほとんどなかった瀬川にとって、サイドバックは未知なる挑戦である。器用にこなせるが故の、器用な人にしかわからない葛藤がある。葛藤はあったというが、今は前向きに新たな挑戦に取り組んでいる。
「器用にできるのがいいのか悪いのか、考えた時期もあった。今年はサイドバックをキャンプからやる回数が多いので、今はサイドバックとして頭を整理しながらやっている。サイドバックとしてスタメンで出られるのであれば、サイドバックを極めていきたい」
考えながらトライアンドエラーを重ねて経験値を積み上げ、また次の試合でトライしていく。30歳という年齢での新たな挑戦は、瀬川に元々あったプレーの幅をさらに広げることになるかもしれない。
「30歳ですよね……。でも前向きにやれているし、今の時代はいろんなポジションができたほうがいい時代だと思う。それを強みとして、かつ、どれも平均点じゃ良くないので、どのポジションをやっても100点を出せるようにしたい」
見据える先には前任者の存在もある。3年連続でJリーグベストイレブンに輝き、今季からMLSのインテル・マイアミでプレーする山根視来は、瀬川と同じ学年でもある。奇しくも山根も、プロ入り後に攻撃的な位置から最終ラインへとポジションを変えた過去を持つ。
「視来がずっとやってきたところなので、追いついて追い越してやれたらいい」
(取材・文:加藤健一)
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