完全に流れを取り戻した仕上げの交代策
ジンチェンコの投入で徐々に自分たちに流れを引き寄せたアルテタ監督は、66分にジョルジーニョとマルティネッリに代わってガブリエウ・ジェズスとレアンドロ・トロサールの両選手を投入した。
結果的にこれが仕上げの交代策となった。
バイエルンは試合を通して5本のシュートブロックを記録するなど、最後の局面での集中力が高く、後半開始から2人を投入した時間帯までにアーセナルがマヌエル・ノイアーを脅かすシーンはほとんどなかった。
この状況を打破するべく、ボックス内で強さを発揮する2人のFWの投入は理にかなったものだった。特に抜群の存在感を放ったのがジェズスだ。この日の彼は3つ全てのドリブルを成功させるなど、ゾーンに入っていると感じさせるほどキレキレだった。
同点ゴールが決まった76分の場面でもジェズスのドリブルが火を噴いた。ボックス手前で前を向いたブラジル代表FWはスライディングで止めに来たバイエルンDFマタイス・デ・リフトを冷静にかわしながら危険なエリアに進入し、相手の視線を自らに引きつけてからマイナスの位置にいたトロサールへパス。最後はベルギー代表FWが落ち着いてゴールへと流し込んだ。
ボールを失わないジェズスのキープ力とフリーでボックス内に進入してきたトロサールの嗅覚。そしてこの流れを演出したアルテタ監督が見事な手腕を発揮した。試合後の記者会見でも「控えの選手たちが大きな影響を与えた」とサブの選手たちを讃えており、彼らが失った試合の流れを取り戻す上で重要な役割を果たした。
2008/09シーズン以来のベスト4進出に向けて意地の引き分けに持ち込んだアーセナル。敵地アリアンツ・アレーナに乗り込む勝負の準々決勝2ndレグは現地時間17日に行われる。アルテタ率いる「ヤング・ガナーズ」はさらなる高みへ進むことができるのだろうか。
(文:安洋一郎)
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