主力への負担が大きすぎるのか
「自分たちが攻撃している時こそ、リスクマネージメントにはこだわりたいけど、引っかかる時もあるし、それがカウンターになるのは僕の中では仕方ないかなと思う部分。そこは割り切って、1対1になるシーンも増えてくるので、個人の力を出すことが大事。それは自分に任せられた仕事だと思う」と最終ラインを統率する植田直通も強調していたが、それができているうちはまだよかった。
しかしながら、後半に入ると守備陣中心に跳ね返せばOKいうわけにはいかなくなった。象徴的だったのが、55分の1失点目だ。
樋口がボールを失ったのをきっかけに、FC東京は俵積田晃太がドリブルで持ち上がり、これを佐野が寄せたものの、セカンドボールが再びFC東京にこぼれた。そしてエンリケ・トレヴィザンからバングーナガンデ佳史扶、松木玖生とつながり、次の瞬間、仲川輝人が植田と関川郁真の間に侵入。打点の高いヘッドを叩き込んだ。これは鹿島にとって致命的な1失点目だったと言える。
そこからポポヴィッチ監督は重い腰を上げ、藤井智也を投入。ラスト10分となったところで土居聖真、松村優太、新助っ人のミロサヴリェビッチを3枚替え。攻撃に迫力をもたらそうと試みたが、後半アディショナルタイムにミロサヴリェビッチのパスをカットした原川力に松木とのワンツーから豪快な2点目を決められたのだ。
「今、失点が続いていて、そこはすごく腹立たしいというか、そこはすごく責任を感じてます」と植田も苦渋の表情を浮かべた。相手の鋭いカウンターに鹿島は屈し、まさかの連敗を喫することになったのである。
「終わり方が非常に悪い。ゲーム自体は我々がコントロールしていたが、前節と同じように決められてしまった」
ポポヴィッチ監督は悔しさをにじませたが、やはり主軸メンバー固定の弊害が出たと言わざるを得ない部分もありそうだ。今季の鹿島は始動時から主力とサブをある程度、固定してチーム作りを進めてきたため、今回のような過密日程になると、一部の主力に大きな負担がかかる。いくら鈴木優磨や植田、佐野らタフな面々でも、出ずっぱりだとパフォーマンスが落ちて当然だ。