フットボール批評オンライン 特集記事
元サッカー日本代表でリーグ・アン(フランス)でも活躍した松井大輔氏は、自身と同じ舞台で活躍する伊東純也のプレーをどう見ているのか。天性のスピードにフォーカスが当たるが、活躍の理由は決してそれだけではない。瞬間的に繰り出される技術の神髄を、松井独自の視点で分析してもらった。(分析:松井大輔、構成:川原宏樹)
フェイントの種類が少なくても通用する理由
【前回はこちら】「ドリブルのミスは成功の布石」松井大輔だからこそ分かる久保建英の技術。一瞬生まれた3つ目の選択肢「久保は見逃しません」
前回、簡単に説明したように伊東純也の魅力はスピードです。持ち前の速さがあるので、無駄なフェイントを仕掛ける必要はありません。ひょっとすると多彩なテクニックを持っているのかもしれませんが、「ヨーイ、ドン」で相手と競い合っても天性のスピードで勝てることが多いので、フェイントで相手を惑わせる必要がないのです。おそらく小さな頃からスピードだけで勝てることが多かったのか、伊東が実用的に使うフェイントは上体の動きで相手の逆を取るボディーフェイクとか、2〜3種類くらいしかありません。
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セオリーでいえば、仕掛けられるフェイントの数は豊富なほうが、相手を惑わせやすく抜きやすくなります。ですが、伊東に関していえば手札が少なくても抜ききれるのです。それだけスピードに優れているということを表しています。
このように速いという特長を持つ伊東の得意とするプレーのひとつに、カウンター攻撃が挙げられます。そのスピードで50メートル、60メートルとボールを運び相手ゴールまで迫ることができ、ひとりでカウンター攻撃を完結してしまいます。このことから伊東には前方に広大なスペースがあったほうが、力を発揮しやすいということがわかります。