プレッシングは“繊細”。酒井高徳が見たポステコグルーのフィロソフィー
酒井は「プレッシャーとはこうだ」と具体的に定義することが難しいと話す。シチュエーションごとに導き出されるアクションの最適解は異なるという前提の上で、プレッシャーの「繊細さ」を指摘する。
「ボールをプレッシングしてチーム全体で奪う中でも、限定の仕方や選手との距離感、奪い方、ファウルしない…もっと言ったら奪う定義が人によって違う。俺の中で奪うっていうのは、ボールがその選手から味方に渡ったら、もう奪ったことになっているんです」
プレッシングの1つの要素として「アグレッシブさ」があることを酒井は認めつつも、ただ闇雲に突っ込んでいく、激しく寄せることだけがプレッシングではない。ボールを奪うためにコースを限定したり、抜かれないような位置を取ること必要な場面もあり、「100%(の勢い)でいかなくても、相手のボールを突くだけなら30%くらいの力でいけるときもある」と言う。大事なことはチーム全体が連動してボールを奪うことであり、そのための個々の瞬時の判断を酒井は「緻密」と表現する。
そのうえで酒井は「その(判断の)レベルと自己解決能力が高いチームほどプレッシングが素晴らしい」と言い、リバプールやマンチェスター・シティ、かつてのボルシア・ドルトムント、現在のトッテナムを挙げた。トッテナムを率いるアンジェ・ポステコグルー監督については「プレッシングの要素みたいなのが結構詰まっている」
(取材:Footballcoach、構成:編集部)