2試合ともにベンチスタート。焦りはあったのか
「いつもならけっこう緊張してしまうんですけど、自分は代表に定着しているわけじゃないし、招集そのものも本当に久しぶりだったので、別にミスをしても失うものはない、というメンタルで入りました。それがよかったと思います。ガッツポーズですか? 嬉しくて勝手に出ちゃった、という感じです」
田中の言葉通りに、大岩ジャパンへ招集されたのはU-22メキシコ、U-22アメリカ両代表と対戦した昨年10月のアメリカ遠征以来だった。IAIスタジアム日本平で強豪U-22アルゼンチン代表と対戦し、5-2の逆転勝ちとともにファン・サポーターを驚かせた同11月の国際親善試合は選外だった。
待望の復帰を果たしても、田中だけはなかなかピッチに立てない。1-3の逆転負けを喫した22日のU-23マリ代表戦はリザーブのままで終え、先発10人を入れ替えたウクライナ戦でもベンチスタート。気がつけば自分を除いた22人のフィールドプレイヤーは、全員が出場機会を得ていた。
大岩ジャパンの中盤は特に層が厚い。3月シリーズの顔ぶれを見ても、ともにシント=トロイデンでプレーする藤田と山本理仁をはじめ、京都サンガF.C.とFC東京でキャプテンを務める川崎颯太と松木、J1リーグで4戦4ゴールの荒木遼太郎に加えて、マリ戦ではFW植中朝日がインサイドハーフで先発した。
それでも田中は「まったく焦れませんでした」と、18日から始まった今回の代表活動を振り返る。
「練習中から薄々気がついていたというか、チーム内における自分の立ち位置というのは自分自身が誰よりもよく理解していました。もちろん悔しい気持ちはありましたけど、それでも別にメンタル的に落ち込むわけでもなかったし、特に自分自身を客観的に見られていたのはよかったと思っています」
インサイドハーフとして先発し、チーム最多の5本のシュートを放っていた荒木との交代で北九州スタジアムのピッチに立ったのは67分。不思議と気負いはなかったと田中は振り返る。