湘南スタイルで奪ったゴール
【写真:NN】
まずは自陣から大畑がロングパスを前線へ供給する。ターゲットとなった佐藤が左タッチライン際でボールを収めた瞬間、インサイドハーフで途中出場していた田中が佐藤の内側を一気に駆け上がった。
佐藤は田中へのパスを選択したが、これは相手にカットされた。それでも、こぼれ球を繋ごうとするウクライナにプレッシャーをかけた佐藤がボールを奪取。前方の細谷へスルーパスを通した。
これもウクライナの必死の守備に遮断された。しかし、こぼれ球が別の相手選手に当たり、ペナルティーエリア内の左側にいた田中の目の前に転がってくる。千載一遇のチャンスで体が自然と動いた。
利き足の左足を伸ばしてボールを拾い、同時に自身の前方へ運んだ直後だった。角度のない場所から上半身を強引に捻りながら、迷わずに左足を一閃。強烈な弾道をゴール右隅へ突き刺した田中は、シュートの瞬間に得点を確信したのだろう。ゴールに背を向けながら、両手を広げて雄叫びをあげていた。
「湘南では縦に味方を追い越していくサッカーをしている、というのもあったし、そういうスタイルはこのチームでも自分の特徴にしていきたかった。何より自分自身が点を取りたい、と思っていたので」
インナーラップから佐藤を一直前に追い越していった、縦への動きを選択した理由を田中はまずこう語った。さらに大岩ジャパンの合言葉であるハイプレスを佐藤が実践し、再び日本のボールにした流れで自らシュートまで持っていき、勝負を決める追加点を生み出した判断をこう振り返っている。