田中聡は「本当にみんなと仲がいい、素晴らしい選手」
「いや、テンションがもうぶち上がっちゃっていました。(田中とは)仲もいいですし、彼が決めてくれたのは自分としても嬉しくて。チームでもムードメーカーというか、そんなに数多くしゃべるタイプではないですけど、本当にみんなと仲がいい、素晴らしい選手なので。いや、ホントに恥ずかしいですけど」
気がついたときにはキスによる祝福を繰り返されていた田中は、どのような心境だったのか。苦笑しながら「いや……ちょっときついですね」とまず切り出した。さらに、キスされたあたりを右手で拭いていたように見えた、と問われると、しどろもどろになりながら必死に言葉を紡いでいる。
「いや、覚えていない。もう無意識で。多分、拭いていたかな……よくわかりません」
もしかすると、田中本人は自覚していないかもしれない。それでも、U-23代表で周囲から愛され、そして周囲を癒すキャラクターが誰なのかが、ほのぼのとした笑いの渦から伝わってきた。
パリ五輪でのメダル獲りを目指す大岩ジャパンの初陣だった、2022年3月のドバイカップ初戦、対U-23クロアチア代表で先発を果たしてから通算8試合目。田中が待ち焦がれた初ゴールはチームとして追い求めてきた形と、所属する湘南ベルマーレで実践するプレーが融合した末に生まれた。