解像度が上がるほど顕著になる「判断の遅れ」
大岩監督はチームに必要なタスクを遵守させたうえで、選手には個々の特徴を発揮してほしいと常々言う。ただ、短い活動期間の中で合わせなければいけない代表チームで、チームのタスクを守らせようとすればするほど選手には負荷がかかり、個々の特徴は影をひそめる。タスクの解像度が上がれば上がるほど、それは顕著になる。
U-23マリ代表戦の後半の相手センターバックとサイドバックの間を裏に抜けてポケットを取る。U-23ウクライナ代表戦の縦パスをワンタッチで落として3人目を使う。そういったチームとしての狙いは分かりやすかった。ただ、分かりやすいということは対応されやすいということでもあり、川﨑の言うように「こうしないといけない」の連続は判断の遅れを招く。選手個々が判断する余白の少なさは冒頭のピッチ上の修正力にもつながる。
忠実にこなそうとした川﨑が苦戦し、開き直って自分の良さを出そうとした田中が輝くという皮肉が生まれた。難しいのは、この問題は二者択一ではなくグラデーションであり、いい塩梅を見つける必要があるということだ。チームとしてのタスクが少なければ、森保ジャパン(A代表)のように選手から「もっと指示が欲しい」という声が漏れる。適切な解像度はリバプールとイングランド代表では違うし、イングランド代表と日本代表でも違い、U-23日本代表とA代表も同じではないかもしれない。
U-23日本代表はU-23日本代表として、適切な解像度を見極めなければいけない。ただ、残された時間はあと1か月。アジア最終予選はすぐにやってくる。
(取材・文:加藤健一)
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