川﨑颯太と田中聡が明暗を分けた理由
「試合が終わったあとにセンターバックと話すと、みんなやりにくかったと感じていたし、ポジションにこだわりすぎていたところもあった。『こう動いて、こうしないといけない』みたいなところにエネルギーを使っちゃったことに、全員がストレスを感じていたところがあって、もっとシンプルにやっても良かったのかなと思ってて。少し気を使い過ぎたところが、出足が一歩遅れるところや、セカンドボールのところで遅れる原因になったとも思います」
山本も「颯太も気持ちを立て直そうと頑張っていましたけど、そういう状況に陥った時は難しいし、自分もその気持ちは分かる」と難しさを認める。U-23マリ代表戦で起きていた混乱の実情は、川﨑の言葉からもよく分かるだろう。
苦しんだ川﨑とは対照的に、U-23ウクライナ代表戦で田中聡は持ち味を発揮していた。球際の強さや推進力といった似た特徴を持つ両者が明暗を分けた理由は、田中の試合後の言葉が端的に表している。
「いつもならもっと緊張しているんですけど、代表定着しているわけじゃないですし、久しぶりなのでミスしても失うものはない。そういうメンタルで入ったのが良かったのかなと思います」
後半途中からピッチに立った田中には、大岩剛監督がピッチ脇から何度も声をかけていたという。「守備の立ち位置だったり、逆サイドにボールがいったときの絞りだったり」と田中はその内容を明かしていたが、失うものがない田中は自分の持ち味を発揮していた。瞬間的な判断に迷いは一切なく、湘南ベルマーレの背番号5のままプレーしているように見えた。