この2試合から見えたU-23日本代表の強み
「前にエネルギーが出せるようになったと思いますし、ビルドアップとかで頭がいっぱいにならず、シンプルに潰すとか、前に出るっていう頭に切り替えられた」
U-23マリ代表戦では山本と川﨑が中盤に並んだ。前半は川﨑がアンカーで山本が前目という役割分担だったが、後半からその役割を入れ替えている。「前にエネルギーが出せるようになった」というのは、ポジションを入れ替えた後半を振り返った際の話である。
川﨑自身も所属する京都サンガで昨季まではアンカーを務めることが多かったが、今季はインサイドハーフが主戦場になっており、4試合で2得点を挙げるなど、アタッキングサードでフィニッシュに絡む仕事が増えている。
もちろん、冒頭の山本の言葉のように、U-23マリ代表戦の苦戦はフォーメーション的な嚙み合わせに依る部分もあるが、ボール奪取能力と推進力に長ける川﨑がポジションを前に移したことが流れを引き寄せたと側面も確かにある。大岩ジャパンは最終ラインからのビルドアップにこだわりを持ってトライしてきたが、川﨑や田中が高い位置から圧力をかける形がこの2試合では有効だった。
アジア最終予選で3位以内に入るか、4位になってアフリカ勢との大陸間プレーオフを勝ち抜かなければ、パリ五輪出場の可能性はついえる。厳しいアジア予選で勝ち抜くためにこの2試合から考えるべきは、選手の特性をチームの戦い方に反映させていく必要性だ。