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日本代表 8か月前

「シンプルに潰す」サッカーU-23日本代表はどう戦うべきか? 2試合から見えたパリ五輪出場を掴むための戦略【コラム】

シリーズ:コラム text by 加藤健一 photo by Getty Images

松木玖生「自分とすごく似ている」



 67分に荒木遼太郎に代わって田中がピッチに入る。守備時は2トップの一角、攻撃時はインサイドハーフの役割を担っていた荒木のところに松木がスライドし、田中は松木が担っていたタスクを引き継いだ。

 ゴール前での創造性やフィニッシュの部分で特徴を出せる荒木に代わり、中盤でのデュエルや推進力に長ける田中が入ったことでチームの目指す方向性は定まった。田中は所属する湘南ベルマーレで[3-5-2]のアンカー、もしくは[4-4-2]のボランチを務めているが、この日は藤田譲瑠チマが下がり目の位置でバランスを取っていたので、田中は普段より高い位置で縦横無尽に動いて特徴を出しやすい環境ができていた。

 田中がピッチに入って10分弱で追加点が生まれる。ボールを失った佐藤が素早い攻守の切り替えでボールを奪い返し、細谷真大へパスを供給する。これは相手DFのスライディングに阻まれたが、ルーズボールを拾った田中が左へ持ち出して聞き足の左足を振り抜いた。

「聡君のボールを狩る特徴は自分とすごく似ているし、追加点が欲しいところで得点を決めてくれたので、とても頼もしい存在だった」

 松木が言うように、ボールを狩るという田中の特徴がゴールという形で結実した。奇しくもこのゴールに絡んだ佐藤も攻撃的なポジションの選手でありながら「自分自身は守備も得意としている」と自認する。ブレーメンのセカンドチームに在籍し、トップチームのベンチ入りも経験した佐藤は「ブンデスリーガの強度に触れて、自分自身のプレーエリアが以前に比べて格段に広くなった」と守備面での成長を実感していた。

 前半はプレッシング(守から攻への切り替え)とビルドアップへの意識が強かったが、後半に入るとボールロスト後のカウンタープレスへの移行がスムーズになった。相手の運動量が落ちてきた部分は確かにあったが、コンパクトな陣形で相手陣内に押し込むことができるようになったのは明確な変化だった。松木も「後半は修正できたのでよかった」と振り返っている。

 似たような部分は完敗したU-23マリ代表戦にもあった。失点につながるミスを犯した川﨑の言葉が、今後の戦いのヒントになるかもしれない。

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