荒木遼太郎がチームに生き残るためには?
「普段からプレーしている分、お互い要求できるところも分かっている。ただ、2人だけで完結するんじゃなくて、全員で勝てるようにしていきたい」と松木はコメントしていた。彼らがいい連係・連動を見せることで、藤田や佐藤、細谷など周囲の面々とスムーズな攻守をお膳立てし、敵を凌駕していくような形になれば理想的。ある意味、2人のコンビがウクライナ戦の生命線になると言っても過言ではないだろう。
一方で、荒木は戦況次第でサイドでプレーする時間帯も出てくるかもしれない。本大会を視野に入れると、登録メンバーはわずか18人。指揮官はオーバーエージ3枠を使う方針で、U-23世代の選手にとっては15枠しかない。となれば、1人の選手が複数ポジションをこなすのは当たり前。東京五輪に参戦した旗手怜央(セルティック)が両サイド、ボランチ、左SBとマルチな能力を見せたように、荒木も多彩な役割を消化できる器の広さを示さなければならないはずだ。
鹿島時代に4-4-2のサイドで出番を得られなかった経験を糧に、どうしたら自分がさまざまなポジションで輝けるかを考え、短時間で具現化することが、代表生き残りへのカギとなる。まずはIHで勝負を賭け、そのうえで柔軟性と適応力を示していけば、大岩監督も荒木の必要性を認めてくれるのではないか。
欧州組の鈴木唯人の最終予選欠場が確実視される今、点が取れて、推進力のあるトップ下とIHのできるアタッカーはチームにとって重要。荒木にとって千載一遇のチャンスなのは間違いない。
「マリ戦を見ていて、ゴール前の守備が少し軽いと言うか、しっかり1対1で勝てればなかった失点もあった。まずは1人ひとりが1対1で負けないことが大事だし、その後のカバーも集中力を上げなきゃいけないなと感じています。
攻撃もあまりいい攻めができていなかったんで、自分が間のスペースに入って、もっとゴールに迫れるようにしていきたい」と攻守両面の具体的なイメージを思い描く荒木。その通りにゲームが進み、最終予選前の一戦を勝利で終われるのがベストなシナリオだ。
戦火の中、パリ五輪切符を手にしたウクライナのタフなメンタリティは想像を絶するものがあるだろうが、それを上回ってこそ、明るい未来が見えてくる。2年ぶりに代表でプレーする荒木にはチームの新たな起爆剤になってほしいものである。
(取材・文:元川悦子)
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