「アジアカップの失敗から学んだものは大きかった」
【写真:Getty Images】
「周りに相手の人数が多いと思い切って行けないというか、どうしてもその後のことを考えたポジションを取ってしまう。ならば中盤の選手を最終ラインにまで下げて対処するのか、と言えば決してそうじゃない。なるべくラインコントロールをしながら『横ずれを早くしよう』と声をかけ続けていました」
イラン戦では最後まで有効な選手交代を行わず、ピッチ上の選手任せじゃないか、という批判を招いた森保監督も北朝鮮戦では早めに動いた。まずは58分。MF守田英正に代えて遠藤を投入し、システムをそれまでの[4-2-3-1]から、遠藤をアンカーに置く[4-1-4-1]に変えた。
相手のロングボールの出どころにもプレッシャーをかけて、自由にボールを蹴らせない。キックオフ前に共有していたロングボール対策をより講じやすい形にして試合をやや落ち着かせると、74分にはMF南野拓実に代えてFW浅野拓磨を、さらに堂安に代えてDF谷口彰悟を投入した。
板倉を中央にすえ、左に町田浩樹、右には谷口を配置する3バックへのスイッチ。遠藤と田中で形成されるダブルボランチの前には前田と浅野がダブルシャドーで並び、DF菅原由勢に代わって右ウイングバックとして投入された橋岡大樹とともに、北朝鮮に対抗するように前への推進力をちらつかせた。
アジアカップのイラン戦では、板倉を代えない采配だけでなく、3バックにして板倉の負担を軽減させるべきだったという批判も渦巻いた。その3バックに変えた北朝鮮戦はどうだったのか。ベンチから声援を飛ばしながら、戦況を見守った堂安は「明らかに楽になっていた」とこう続けた。
「試合後にはディフェンスの選手たちと話したなかで、みんな同じことを言っていた。実際に冷や冷やする場面は減ったし、アジアカップの失敗から学んだものは大きかったと思います」
実際にピッチ上でプレーしていた選手たちはどのように感じていたのか。状況によっては左ウイングバックの伊藤洋輝、右の橋岡が下がって5バックになった効果を板倉はこう振り返っている。