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日本代表 8か月前

「あの経験があって…」サッカー日本代表、板倉滉が乗り越えた“トラウマ”。己との戦いでもあった北朝鮮戦の真実【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

恐怖心を打ち消した覚悟



「相手の監督が喝を入れたのか、目の色を変えて戦ってきたなかでロングボールが増えた」

 板倉の、そして日本の脳裏にトラウマが蘇ってくる。実際、後半開始早々にロングボールのこぼれ球を拾われてシュートを放たれた。右ポストに当たって九死に一生を得たと胸をなで下ろした直後に、別の選手にゴールネットを揺らされた。これは直前に相手のファウルがあったとして、得点が認められなかった。

 判定に異を唱えた北朝鮮の選手たちが、UAE(アラブ首長国連邦)の主審を取り囲む。明らかに流れが変わり始めた後半のピッチ上で、板倉は必死に勇気を振り絞りながら最終ラインを統率した。

「ファウルで救われた場面が一度ありましたけど、実際に相手の勢いやアグレッシブさを感じていたし、セカンドボールや球際の攻防で相手にボールがこぼれるケースも増えていた。相手もポジショニングのところで真ん中を捨てて、高いラインで横並びに選手を配置してきたのもあった。こういう試合はすごく難しいというか、早い時間帯で幸先よく先制できて、なかなか追加点を取れないなかで試合が進んでいくと、守っている側としても、どうしても『危ないかもしれない』と思ってしまうのもあった」

 恐怖心が浮かぶたびに、絶対に勝つ、という不退転の覚悟と決意をもって打ち消していく。コロンビア戦の、何よりもイラン戦と同じ結果にだけはさせない。自分との戦いでもあったと板倉が続ける。

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