ワールドカップの「宿題」。依然として浸透していないのは…
後半は北朝鮮代表が定番の豹変作戦。ワンタッチを組み込んだテンポアップという点では、むしろ北朝鮮代表のほうが意欲的だった。前半は自重気味だったハイプレスも仕掛けてきた。
この変化に面食らったのか、日本代表は押し込まれてしまう。相手はペナルティーエリア内に人数を投入し、少々強引でもゴール前へボールを入れる。それを跳ね返してカウンターを狙うという展開になっていった。
73分、森保監督は3人を交代。フォーメーションも3-4-3に変えた。相手の圧力に耐えられるように谷口彰悟を入れた3CBの防御体制を組み、シンプルに浅野拓磨のスピードを使ってカウンターを狙う。ドイツ代表戦などでもお馴染みのカウンター狙いだが、まさか北朝鮮代表を相手にこうなるとは思わなかった。
後半は攻め込まれたが、それでもトータルで決定機の数は日本代表が上回っている。そのうちのいくつかを決めていれば、もっと楽に試合を運べたはずなので、このチームとしては珍しくフィニッシュが課題として浮上したわけだが、元をたどれば前半のペースダウンが苦戦の原因だ。依然としてビルドアップの仕組みが浸透していない。
自分たちがボールを持ったときのプレーはカタールW杯の宿題だった。そこにまだ大きな進歩が見られておらず、この先のアジアの戦いも簡単ではなさそうに思わされる一戦となった。
(取材・文:西部謙司)