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日本代表 8か月前

「正直、自分が誰よりも…」長友佑都はいかにしてサッカー日本代表復帰を掴んだのか。見えてきた大記録への思い【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by NN

「批判は仙豆」長友佑都は言われる度に強くなる


【写真:NN】



 長友が「また」と言及したように、岡田武史監督のもとで2008年に初招集された日本代表だけでなく、FC東京を皮切りにチェゼーナ、インテル、ガラタサライ、オリンピック・マルセイユ、そして2021年9月に復帰したFC東京で、長友は毀誉褒貶の激しい状況を何度も経験。自然と打たれ強くなったと笑う。

「僕はそういった批判を、エネルギーに変えながら成長してきました。僕にとって批判は『仙豆』みたいなもので、むしろもっと、もっと批判してください、という感じですよね」

 ここで言及された「仙豆」とは、今月1日に死去した鳥山明さんが描いた人気漫画『ドラゴンボール』のなかで登場するアイテムだ。ひと粒でも口にすれば大怪我が癒え、体力も回復する摩訶不思議な豆と、自分自身に向けられる厳しい批判の声が、いつしか長友のなかで同一化していた。

 長友はワールドカップ・ロシア大会の期間中も髪の毛を金色に染め、同じく『ドラゴンボール』で登場する「スーパーサイヤ人」だと周囲を笑わせ、苦戦が予想された西野ジャパンを盛り上げている。この『ドラゴンボール』の流れで、主人公の孫悟空が操る最大の武器である「元気玉」を、北朝鮮戦に臨む森保ジャパンに持ち込んだのかと聞いてみた。長友は苦笑しながらこう返している。

「やはり元気ですよ。エネルギーがあり余っているというか、何か年をとってからそういうのがより一層強くなってきている。こうして代表に来ると、疲れも吹っ飛ぶんですよね。そういった意味でもやはり意識とか気持ちというのは大事だと、あらためて感じています。だからこそ、1年ちょっとのブランクが空いているけど、様子見なんかはまったくしていないですね。若い選手たちや新しい選手たちは僕の熱に引いているというか、ちょっと距離を取られている感覚が最初こそありましたけど、練習をしながら心が近づいたと思うので、ここからまたみんなのなかへグッと入っていこうかなと思っています」

 長友の半生のほんの一部を振り返っただけでも、何が起ころうと揺るがない強靱な意思が、進んでいく道を切り開いてきた跡が伝わってくる。サッカー界を驚かせた今回の代表復帰も、サッカー人生のすべてを代表とワールドカップに懸けてきた、と公言してはばからない長友が引き寄せたと表現していい。

 そのなかで、ひとつだけ誤解があると長友は苦笑する。平壌での北朝鮮戦が開催されるのは、ザックジャパン時代の2011年11月以来、13年ぶりとなる。0-1で敗れたワールドカップ・ブラジル大会出場へ向けたアジア2次予選第5戦に、負傷離脱中だった長友は実は帯同していない。

「何か前回も僕が行ったみたいな感じで、選手たちも『佑都さん、行ったんですよね。教えてください』と言われるんですよ。僕もいろいろと情報を集めていますけど、さまざまな経験を積んできたなかで、どんな相手だろうが、どんな過酷な場所だろうが、自分はやれるという自信を持っている。一人でも元気なやつがいれば、それがチームに伝染していくと思うので。そういう存在で常にありたいですね」

 日本は過去に平壌で4度戦い、2分け2敗とひとつも勝っていない。それどころか無得点が続いている。情報がほとんどなく、不気味さが漂う敵地の戦いだからこそ「僕、マジで悩みがないんですよ。それが自分の強みというか、逆境が大好物なんですよね」と公言する長友の存在感が大きくなってくる。

(取材・文:藤江直人)

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【了】

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