対照的な両指揮官の言葉「勝ち点2を落とした」「負けなかったことが大事」
「プレスのところは我々のディフェンスラインの前にスペースを空ける形になってしまいました」
アレクサンダー・ショルツに代わって今季初先発となった佐藤瑶大は反省していた。
「攻撃があれだけ点を取ってくれたので責任を感じている。事故的なものや、こぼれ球を詰められたりしましたけど、そこに至る前のところで僕たち(DF)がもっと後ろから(中盤や前線の選手に)球際に強く行かせたり、ゴール前を堅くするような声かけができたんじゃないかと」
先制したあとの浦和は最終ラインが必要以上に下がってしまい、全体が間延びしていた。湘南の1点目、2点目はそのスペースをうまく突いた結果とも言えるだろう。佐藤は「相手の勢いに押された感じはあった。それを押し返せなかったメンタリティーは良くなかったし、それを肌で感じている僕がチームに発信できなかったのが良くなかった」と矢印を自分に向けた。
後半は岩尾憲を投入して中盤のバランスが改善され、最前線に入れた松尾佑介がシンプルに裏を狙う動きをしたことで、湘南を間延びさせることに成功した。湘南のキム・ミンテは「後半は距離感が遠くなったのは自分が修正しないといけないところ」と課題を挙げていた。
DFからFWまでのコンパクトさが失われてしまうと、相手に主導権を渡してしまうという点でこの試合の両者は共通していた。前線が高い位置からプレスをかけた際にディフェンスラインを上げられなければ、浦和の1点目のように簡単にその間にパスを通されてしまう。押し込まれた際もタイミングを見計らってディフェンスラインを上げなければ、湘南の1点目のように深い位置まで侵入されてしまっていた。
佐藤は「やろうとしていることの共通意識はある」と言いながらも、「後ろ(DF)が大事なのでもっと声をかければよかった」と改善点を挙げた。前線からの守備と最終ラインの押し上げが連動しなければ、今日のような守備崩壊を修正することはできないだろう。
前半の真ん中あたりで修正した湘南がその後は主導権を握ったが、後半から選手を替えた浦和が再び流れを引き戻し、最後はオープンな打ち合いで4-4の痛み分けとなった。山口監督は「勝ち点2を落とした」と表現すれば、ヘグモ監督は「負けなかったことが大事」と述べた。両指揮官の言葉が、この一戦の構図をよく表していた。
(取材・文:加藤健一)
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