「チームとしてアレルギー反応を持っている」
「鹿島さんが相手というのもあるし、J1でずっと10位以内に入り続けているチームを相手にどこまで通用するのか、というのは自分たちの自信にも繋がる。そのようにとらえて、とにかく強気に臨んだ一戦でした。そのなかでもやるべきことが明確で、個人としてもチームとしても90分間を通してそれらを徹底して発揮できた結果が、この勝利に繋がったと思っています」
だからといって、特別な対策を用意したわけではない。高校サッカー界の強豪、青森山田から異例の転身を遂げた黒田剛監督のもと、昨シーズンからチームのベースとして掲げられてきた「勝つ、イコール、守れること」が、新加入選手を含めた全選手の間に浸透していると平河は言う。
「失点する、という状況に対してチームとしてアレルギー反応を持っている。今シーズンは開幕してからまだ一度も先制されていないので、そこの強みはこれからもはっきりしていきたい」
3試合で喫した失点はわずか「1」で、ガンバとの開幕戦の84分にFW宇佐美貴史に決められた同点の直接FKだった。つまり流れのなかではまだ失点を許していない。さらに名古屋戦、そして鹿島戦と続いた“ウノゼロ”での勝利を、実は黒田監督はどんな勝ち方よりも歓迎している。
「どうしても守勢になる部分が出てくると思いますけど、そのなかでもわれわれは1-0で勝つ、クリーンシートで勝つところを全員がしっかり共有している。実はこの1-0という状況が、われわれが最も優位性を持ってプレーできる点差なので、その意味でもすごく落ち着いて戦ってくれている」
相手のストロングポイントを封じ込める目的のもとで、ハイプレスを連動させて相手にロングボールを蹴らせる。リスクを排除するために自陣からもロングボールを多用してセカンドボールを回収し、敵陣深くに攻め込んでからはロングスローにセットプレーと、ミスの少ない攻撃を優先させる。
手堅い試合運びが重んじられるからこそ、ドリブル突破を武器とする平河の存在は異彩を放つ。
「攻撃においても守備においても、対人での強さが自分の武器だと思っています。ここまでも自分の特徴を出せていましたけど、ようやくゴールという数字をつけられて一番ホッとしています。もっと自分の特徴を出していくためにも、もっともっと数字というものにフォーカスしていきたい」
鹿島戦をこう振り返った平河には、相手のベンチからも特別な視線を送られていた。