「昨年できていたプレーがまったく通用していない」
「昨シーズンから大きく成長した選手の一人であり、J1の舞台でも十分に戦えると証明してくれた。身体的な能力が非常に高かったところへ、プレッシャーがあるなかで技術のクオリティーが上がってくれば、J1でも危険な選手になれると思っていた。今日もしっかりとクオリティーを出せていたし、成長したと思うけれども、僕はまだまだ満足していない。もっともっと成長できると思っている」
ホームのヤマハスタジアムに昨シーズンの王者、ヴィッセル神戸を迎えた2月24日の開幕戦。磐田はすべての面で神戸の後塵を拝し、0-2で完敗した。ジャーメインも自戒を込めてこう振り返る。
「正直、神戸の強度の高さや中盤のスピード感にちょっと面食らって、臆病になっていたところがあった。そこを監督にミーティングで全員が叩き直されました」
横内監督の檄で戦う気持ちを取り戻したジャーメインは、31試合に出場し、チームで最多タイの9ゴールをあげた昨シーズンを通して「フォワードとしての幅がかなり広がった実感がある」という。
「それを今シーズンのJ1で、厳しい相手に対してどれだけできるか、という意味でもチャレンジしているところです。自分としては得点を取るところはともかく、ポストプレーに関してはこの2試合で通用していないというか、昨年できていたプレーがまったく通用していない感覚がある。フィジカルで何とかしていたのが、ちょっと抑えきれなくなっている。そこに関しては相手との駆け引きや事前の予測といった部分をもっと研ぎ澄ませて、もっともっとレベルアップしていきたい」
再び挑むJ1の舞台で見つけた課題を、まるで歓迎するかのように言葉を弾ませたジャーメインは、第2節を終えたJ1の得点ランキングで、もちろん一番上に名を連ねている。早くもキャリアハイを更新した年間ゴール数を、どこまで伸ばす目標を思い描いているのか。
「自分のなかで開幕前に決めた目標があるので、まずはそこへ向けて地に足をつけてやっていきたい」
一転して神妙になったジャーメインが掲げた目標は11ゴールだった。磐田での背番号を昨シーズンまでの「18」から「11」に変更したのに伴い、それに合わせて決めた目標だという。
「J1ではそこまでの実績はないので、まずは11点を目指していきます」
開幕前の恒例にしている必勝祈願の皿投げで、ジャーメインは「結果、努力、継続」と皿の表面に記している。いま現在も自分自身を客観視しながら、一歩ずつ前へ進んでいく姿勢は変わらない。
「一回だけの爆発にならないようにしたいし、何よりも継続させていくのが一番大事なので」
マークが厳しくなる今後は、さらにJ1の洗礼を浴びるかもしれない。それでも、神戸戦のようにジャーメインは怯まないし、下も向かない。掲げる目線の高さを少しずつ上げていくジャーメインは、目の前の課題をクリアするたびに危険なオーラを身にまとい、J1へ復帰した磐田をけん引していく。
(取材・文:藤江直人)