「公式戦では初めて“か”」4得点への意外なリアクション
「3点目のPKは若干緊張しましたけど、4点目は何と言うか、もう3点取っていたし、ノープレッシャーでした。ちょっと言い方が悪くなるかもしれないけど、あそこで外しても僕はあまり叩かれないかなと。なので、そんなに気負わずに、むしろリラックスして蹴れました」
コメントから特異なメンタルが伝わってくる。磐田の歴史で中山雅史、高原直泰に続く、1試合で4ゴール以上を決めた選手になったジャーメインは、さらにこんな言葉を続けた。
「正直、びっくりしているというのが一番です。サッカー人生のなかで、小学校時代も含めて、4点も5点も取るようなスーパーな選手ではなかったので。高校や大学でも公式戦では……ないか。大学選抜の練習試合ではあったけど、公式戦では初めて“か”、といった感じで書いておいてください」
アメリカ人の父と日本人の母を持つジャーメインは、神奈川県厚木市で生まれ育った。サッカーを本格的に始めたのは、7歳だった2002年の夏。テレビ越しに見たワールドカップ日韓共催大会で、トルシエジャパンのMF稲本潤一が決めたゴールに魅せられ、地元のサッカーチームに加入した。
中学卒業後はより高いレベルを求めて、千葉県の強豪・流通経済大学柏高をへて流通経済大学の門を叩く。2年次から全日本大学選抜に名前を連ねるなど、身長182cmと高さも兼ね備えるストライカーはプロからも注目される存在となり、前述したように2018シーズンに仙台へ加入した。
アマチュア時代では同じ左利きのストライカー、オランダ代表のロビン・ファン・ペルシを目標として掲げた。しかし、プロになってからは誰の背中も追いかけていない。理由は単純明快。ジャーメインはかつて「毎日のように、レベルアップすることしか考えていないので」と語っている。
仙台から横浜FCをへて、磐田で3シーズン目を迎えているいまも貪欲な姿勢は変わらない。J2を戦った昨シーズンから指揮を執る、元日本代表コーチの横内昭展監督はジャーメインをこう語る。