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日本代表 9か月前

“8年の冬”で危機感から恐怖心へ…なでしこジャパンが1つになった瞬間。守護神が下した大胆な決断とは【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

「これがチーム力です」高橋はながとった行動とは…

なでしこジャパンDF高橋はな
【写真:田中伸弥】



「次の瞬間、はなが『みんな、手を強く握って丸くなってください』と言ったんですね」

 選手たちが手を握り合いながら円を作ると、高橋がさらに言葉を続けたと山下が明かす。

「はなによれば『これがチーム力です』と。よくわからなかったけど、何か可愛いなと思いましたし、それでみんながすごく明るくなったというか、あらためてひとつになれたのかなと」

 山下は長谷川唯、長野風花と手を握り合った。これまでもともに戦ってきた、心強い仲間たちがいる。そう思うだけで、恐怖心が少しやわらいだ感じがした。

 迎えた第2戦の26分。第1戦から続いていた、両チームともに無得点の均衡を破ったのが高橋だった。敵陣の左サイドで獲得した直接FKから相手ゴール前の混戦に持ち込み、こぼれ球に誰よりも早く反応して押し込んだ。待望の先制ゴールもまた、山下を勇気づけた。

「浦和でプレーしているときもそうですけど、セットプレーに強く、点も取れるディフェンダーはすごく心強い。そういう選手が試合に出ているのも日本の強みだと思うし、はなを含めてディフェンダーがゴールを決めてくれたときは、キーパーとしても特にうれしさを感じます」

 なでしこを率いる池田太監督は、システムを第1戦の「4-3-3」から「3-4-3」へ変更。さらに先発を2人変更し、左ウイングバックに北川ひかるを、左ウイングには上野真実をそれぞれ起用した。システムと選手の変更も山下の背中を強く押した。

「確かに『4-3-3』のときのビルドアップの手詰まり感は、後ろから見ていても感じました。だからこそ自分がロングフィードできるスペースがあったんですけど、これが3バックになると守備面でメリットが生まれる。ただ、前線の選手たちが角度やスペースを作っているのにも関わらず、後ろからボールが供給されなければ少しストレスを感じる。この試合ではそれが伝わったというか、監督がそれに気づいてくれて、選手の特徴を見た上でやりやすい形で置いてくれたんだと思います」

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