「今年のJリーグは、敬介の素晴らしいセーブから始まった」
「アジアカップもキャンプ中に見ていましたし、常に刺激をもらっていた。そのなかで、もう一回あそこに自分が立つんだ、という強い思いや目標もできたし、まずはこういった試合で結果を出し続けることと、自分の存在感というものを常に出し続けていくことが大事だと思っています」
気持ちも新たに歩んでいく第一歩を、完璧な形とともに踏み出した。広島を率いて3シーズン目になるミヒャエル・スキッベ監督も、復活を果たした大迫への賛辞を惜しまなかった。
「今年のJリーグは、敬介(大迫)の素晴らしいセーブから始まった感じがする。言うまでもなく、現時点で敬介は間違いなくトップレベルのゴールキーパーだと思っている」
開幕戦の勝利を告げる主審の笛が鳴り響いた直後。大迫は両拳でガッツポーズを作り、最終ラインを形成した塩谷司、荒木隼人、そしてキャプテンの佐々木翔と次々と抱き合った。
「全員に勝ちたい思いがあったなかで、勝つだけじゃなくてゼロで抑えたところが、僕たちのポジションにとって意味がある。最終ラインのみんなが最後までハードワークを惜しまず、終盤は体力的にきつくなっても走り切って、やり切った感情が出たと思います。後半は浦和サポーターの声援を背に受けながらプレーしましたけど、前半の広島サポーターの方が声も大きかったし、僕たちの背中にしっかりと届くものも大きかった。新スタジアムで勝利できたことに何よりもホッとしています」
3月2日の第2節ではFC東京のホーム、味の素スタジアムに乗り込む。浦和への快勝を介してチームの完成度の高さと、ともに3位に入った過去2シーズンを上回る可能性を高らかにアピールした広島の最後尾で、24歳の守護神が放つ存在感が日に日に大きくなっていく。
(取材・文:藤江直人)