「もっと事前に…」川島永嗣が示す世界基準
実際、神戸の強度やスピード、攻守の切り替えといった部分に磐田は序盤から苦しむ形になった。開始早々の4分には、右CKのクリアボールを汰木に遠目の位置から決められ、いきなりのビハインドを背負うことになる。川島自身も難しさを味わったことだろう。
その後も大卒ルーキーの植村洋斗は汰木に繰り返しクロスを上げられ、個人昇格してきた新戦力・平川怜は対面の酒井高徳に下げさせられた。攻撃の主導権を握れなくなり、磐田としては厳しい時間帯が続く。セカンドボールも拾えず、守勢を余儀なくされ、J1とJ2の差を多くのメンバーが体感したはずだ。
それでも川島は平常心を失わず、勇敢にゴールマウスを守り続けた。9分に汰木が上げたクロスを佐々木大樹がヘッドで合わせたシュートを確実にキャッチすると、41分には扇原貴宏が蹴り込んだ浮き球の長いボールを右手でパンチングして、危険な状況を阻止する。それ以外にも飛び出してくる大迫勇也よりワンテンポ早く出てセーブするなど「攻めの守備」が非常に目立っていた。
ベテラン守護神は先制を許した後のパフォーマンスをこう振り返る。
「よく対応はできていた部分もあったと思います。ただ、もっと事前にケアできるところもある。相手のやり方を踏まえつつ、いろんなチームがいると思いますけど、そこで自分たちが相手の嫌なことをできるようにしていかないといけない」
何とか粘って0-1で折り返したのだから、磐田としてはそれ以上失点せず、反撃ののろしを上げたかった。横内昭展監督も後半頭からは新助っ人FWマテウス・ペイショットを投入。前線に厚みをもたらそうとした。