好調アーセナルがチャンスを作れなかった理由
堅守速攻を徹底していたポルトは[4-5-1]のブロックで中盤をコンパクトにすることで、相手のパスを引っかけてからのショートカウンターを狙っていた。対するアーセナルは先述した通り、この試合はスコアレスドローでも十分な結果だった。そのため狭いスペースに楔の縦パスを通すことなく、攻撃でリスクを犯すことをしなかった。これが決定機を作れなかった最大の理由である。
アーセナルはショートカウンターを受けないように中盤を経由することなく、外循環の形で両ワイドに展開して、WGの質的優位でチャンスを作り出そうとしていた。しかし、痛恨だったのがガブリエウ・マルティネッリとブカヨ・サカの低調なパフォーマンスだ。
特にサカは消極的なプレーに終始し、データサイト『Sofascore』によると、成功の有無関係なしに1度しかドリブルで仕掛けていない。そんな状況でもアーセナルが得意とするコーナーキックのチャンスは10回も訪れたが、ポルトの守護神ディオゴ・コスタの安定したハイボール処理もあって決定機を作れなかった。
中央からもサイドからも自分たちの攻撃を仕掛けられず、肝心のセットプレーのチャンスも活かせないとなれば得点の匂いはしない。ただ、何度も述べたように、この試合は「ゴールを奪うこと」よりも「ゴールを奪われること」に重きを置いているため、攻撃の停滞事態はそこまで問題ではなかった。
それよりもゴールを決められたのが大きな問題だ。