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Jリーグ 10か月前

「シンプルだけど難しい」鹿島アントラーズを変えるポポヴィッチ監督の“要求”。柴崎岳の穴を埋めるのは…【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Naoto Fujie

なぜ柴崎岳は10番を着けたのか? 「自問自答も繰り返した」

鹿島アントラーズMF柴崎岳
【写真:藤江直人】



 テネリフェ、ヘタフェ、デポルティーボ・ラ・コルーニャ、レガネスとスペインの4クラブでプレーした柴崎が、約6年半ぶりに古巣・鹿島へ復帰したのは昨年9月。しかし、加入前から違和感を抱えていた左太ももが悲鳴をあげ、公式戦で4試合に出場しただけで昨シーズンは終焉を迎えた。

 鹿島も柴崎が「10番」を背負い、J1リーグと天皇杯の二冠を獲得した2016シーズンを最後に国内タイトルから遠ざかっていた。柴崎自身も2017年1月にステネリフェへ移籍している。愛してやまない鹿島へ再びタイトルを――捲土重来を期す決意は、異例となる「三刀流」に反映されていた。

 選手会長とポポヴィッチ監督から託された新キャプテン、そして志願して背負った「10番」との一人三役。青森山田高から2011シーズンに鹿島へ加入して14年目。プロクラブで初めてキャプテンを引き受けた柴崎は、一度はやんわりと断るも、熟考した末に「10番」を引き受けた理由をこう明かす。

「まずは打診があって、そのときは『他にそういう選手がいなければ』という話で終わりました。空き番になると一度決まってから一日ほど、自分であれこれ考えたなかで、新シーズンを迎えるにあたって鹿島の『10番』が空き番になるのはどうなのか、と思うようになりました。できれば新時代の選手につけてほしい、という気持ちもあった一方で、今年で32歳になる僕のような選手がつけるのはどうなのかと自問自答も繰り返しました。しかし、それ以上に『10番』が空き番になるのはダメだと思ったので、吉岡さんに『できればつけさせてください』と伝えて快諾していただきました」

 左太ももに負った怪我も、オフの間にも自らに課したリハビリをへて完治。前出の宮崎とのトレーニングマッチにも、左腕に黄色いキャプテンマークを巻いて先発した。しかし、接触プレーで左足を痛めるアクシデントに見舞われ、開始わずか18分で自ら交代を申し出てピッチを後にした。

 宮崎戦後に鈴木が残した言葉からは、ワンタッチを多用しながら相手ゴールへ素早く、直線的に攻め込む新生・鹿島のサッカーに、柴崎がいかに必要不可欠な存在になってくるのかがわかる。

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