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久保建英を下げたサッカー日本代表が失ったもの。スペイン人指導者がイラン戦を分析。右サイドに起きた問題とは【アジアカップ】

シリーズ:スペイン人指導者の視点 text by 川原宏樹 photo by Shinya Tanaka

苦戦した戦術的理由「危険回避の意識が強くなってしまった」

サッカー日本代表
【写真:田中伸弥】



「左サイドではウイングの位置で前田大然が先発しました。そして、後半途中からは三笘薫が出場しましたが、いずれにしても右サイドよりスムーズな攻撃が展開できていました。中央の久保建英や右の堂安律が寄ってきて、コンビネーションをうまく使ってボールを動かせていました。こういった状況のときに、逆サイドでサイドバックを務めていた毎熊晟矢がどこまで前に出ていけるかというのが、両サイドをワイドに使った攻撃の展開という意味では重要なポイントになります。ですが、イラン戦では思うように高い位置取りができていなかった印象です」

 インドネシア戦、バーレーン戦に続いて先発した毎熊だったが、イラン戦では思い切ったオーバーラップは前の2戦に比べると少なくなっていた。右サイドの高い位置で思うようにポジショニングできなかった理由をアレックスが分析した。

「理由のひとつに、ディフェンスラインの不安定さが影響しているように思います。日本代表の守備はグループステージから安定性を欠いてきました。加えて、イランはこれまでよりも圧力があったため、警戒心が高まって危険回避の意識が強くなってしまったのではないでしょうか。さらに、イランには比較的スピードに長けた選手がいて、その選手は毎熊のサイドにいました。その選手に引っ張られる形になってしまい、高いポジショニングが難しくなり後ろ向きな姿勢となっていました」

 右サイドの高い位置でポジショニングができなかったことは、「前線でのボールの動き方に対して自ら制限をかけてしまった」と解説した。右サイドに関していえば、緊急事態により本来とは異なる選手を起用せざるを得なかったのかもしれない。それでもサイドバックには出場している選手の「特長を生かすようなポジショニングが求められる」と説いた。

 グループステージでの戦いぶりから、ロングボールへの対応が懸念されていた。イラン戦では予想どおりに最終ラインへ送り込まれるロングボールに苦しむ姿を見せた。そういったゲーム展開について、アレックスは見解を示した。

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